自然教育園 野草 雑草 植物の構造

ツユクサ科~ツユクサ

あまりにも不思議で美しいツユクサに見とれてしまいました。ツユクサは長く日本人に愛されていたのでしょう、沢山の名前を持っています。和名:露草、別名:月草、着草(つきくさ)、青花(あおばな)、帽子花(ぼうしばな)、藍花(あいばな)、蛍草(ほたるぐさ)、移草(うつしぐさ)、鴨跖草(おうせきそう)英名:デイイフラワー

特徴

ツユクサ科ツユクサ属の一年草。

草丈は20~50cm。茎は地面を這いよく分岐して節から根を出して増えます。茎は斜上し葉は互生、5~8cmの披針形で膜状の鞘になって茎を抱きます。

ツユクサ

花期は6~9月。花弁は3枚。上の2枚は青く大きく、下に1枚目立たない白い花弁があります。雄花と両性花があります。2~3割が雄花です。舟形の苞葉から花序を出し、1つずつ苞から出て咲きます。縦に2個の花が出ていれば上の花は雄花です。萼は小さく白色で3枚。

雌しべが1本、雄しべが6本。花糸が短く黄色い葯を持つ目立つ3本の雄しべは花粉を出さない仮雄しべ、 長い花糸で先に楕円形の葯を持つ2本の雄しべは完全な雄しべ、真ん中に人型をした1本の雄しべは少し花粉を出します。

花がしぼむときには、雌しべと長い雄しべがくるくると巻き始め、人型雄しべが巻き上がってきた雌しべとぶつかり受粉します。目立つ黄色い葯はおとりと言われています。不思議には理由があるはずです。朝咲いて昼にはしぼんでしまうはかない花です。

果実

若い果実です。5.5mmの蒴果で苞の中で2裂します。種子は4個入っています。

食用 薬用

灰汁が少なくて、天ぷらや、炒め物、茹でて和え物、酢の物 にして食べられます。花が咲く前の方が柔らかくて美味しい。利尿作用があるので、むくみ解消に効果的だとか。「鴨跖草」は生薬の名前で、全草(全部位)を乾燥させた物です。解熱剤や下痢止めに使われます。

露草色

ツユクサ

万葉集には「月草」が多く使われています。かつて、着草の名の通り、布に色液を擦り付けて染めていました。月草に 衣は摺らむ朝露に 濡れてののちは うつろひぬともと万葉集にもあります。

水洗いすると消えてしまうことから、「うつろう」などの枕詞に使われました。今ではぞの性質を生かして友禅の下絵に使われています。ツユクサでは花びらが小さいので変種のオオボウシバナが使われています。

露草色という明るい青色があります。この色は秋に使われます。俳句では秋の季語です。

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