アサガオ
小型ですが何やら江戸を思わす粋なアサガオです。真ん中に光がともっているかのようです。そんな朝顔ですが、原産はアメリカ、ヒルガオ科サツマイモ属のつる性一年草です。日本に入ってきたのは、遣唐使が持ち帰ったとも平安時代ともいわれています。今の朝顔があるのは江戸時代の園芸ブームがあったから。
将軍様から庶民まで花好き
江戸時代は平和で都市機能が整って文化が花開きます。将軍、家康、家忠、家光の花好きに支えられて、園芸の大ブームが起きます。参勤交代などで各地の花木も江戸に集まってきました。鎌倉時代に禅僧たちの間で流行っていた盆栽が江戸時代には庶民にまで広がります。【将軍様から庶民まで】が花好き、これが江戸の園芸ブームの一番の特徴です。これには、種子採取のために来日した植物学者ロバート・フォーチュンさんも驚いたそうです。
江戸中期には植物をきれいに見せるために植木鉢が作られ、庶民も行商や露店から植木鉢を買い軒先に並べて楽しんだことが、浮世絵からもわかります。
花合わせから朝顔市へ
品種の多い花は、変わり種や、自慢の草花を持ち寄って美しさを競う品評会のような「花合わせ」が開かれました。パンフレットのようなものも作られていました。アサガオは大人気で、ますます人々の関心が集まり、品種改良にも拍車がかかったようです。植木職人たちが競って八重咲きや、切れたりそったりといわゆる変化朝顔がつくられていきます。下級武士たちも内職でも庭で朝顔を栽培していました。入谷の朝顔市はこれがもとになっています。それとは別に熊本藩では 肥後朝顔として、大輪の朝顔に繫がっていきます。薩摩藩のほかにも、園芸に力を入れていた藩は多く、そこに精神性や芸術の要素も加わっているところは、いかにも日本らしいと思います。
また輸出も盛んで変わり種が喜ばれ、特に菊はヨーロッパの文化に影響を与えたそうです。植物もあちこち旅していろいろに変化して楽しませてくれているのですね。
そのころ作られた黄色と黒色のアサガオが再現できないそうです 。
ヨウジロアサガオ
これは、曜白朝顔(ヨウジロアサガオ)です。静岡大学の先生が交配により周囲が白くなる系統が発見されたそうです。
世界街歩きという番組ではよく花できれいに飾られた窓の光景が映し出されます。自分のためではない手間を楽しそうにかけている人たちを見て嬉しくなります。そんな街が増えるといいですね。
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