すっかり植物が姿がなくなった水生植物園ですが、ヒガンバナの優しい緑色の葉が冬の光を独り占めしています。そして翌春には跡形もなくなって、彼岸の頃に突然にょきっと伸びたかと思うと鮮やかな赤い花が。群生すると見事です。いつも人の傍にいる花です。
ヒガンバナ
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草
分布 日本全国の日当たりの良い場所
中国原産 史前帰化植物
草丈 30~50cm
花期 7~10月
学名 リコリス・ラジアータ (リコリスはギリシャ神話の海の女神の名から、ラジアータは放射状の意味)
英名 レッド・スパイダー・リリー
別名 リコリン 曼殊沙華
地方名 1000を超える。葬式花 墓花 死人花 地獄花 幽霊花 火事花 蛇花 狐花 捨て子花・天蓋花 葉見ず花見ず
リコリンなどのアルカロイドを含み全草有毒、特に根茎部分。
葉
鱗茎は1~3cmの卵状球形で分球によって増えます。葉は花後、10月頃に束生し冬を越して、他の植物が現れる翌春には枯れます。競争相手のいない冬に光合成をおこなって栄養分を鱗茎に貯めこみ、また新しい鱗茎を育てます。深緑色で中脈は淡色になり光沢があります。幅6~8mm、長さ30~50cmの線形で鈍頭。
花
花茎が伸びてきました。淡緑色の花茎は30~60cmにもなり茎頂には苞に包まれた散形花序を付けます。
2枚の総苞片は披針形で膜質、苞が破れて5~7個の花が覗いています。
暗赤色の葯が伸びてきました。
筒部は淡緑色、6~10mm。緑色の子房があります。
横向きに放射状に開いていきます。花被片は6枚鮮やかな朱色、幅6mmほど長さ40mmの狭披針形で強く反り返り縁が波打っています。長さ8cmの細長い赤色の花糸が上向きにカールしながら飛び出します。葯は長楕円形で暗赤色。花柱は赤色、雄しべより長く突出します。
葯が縦に割れて黄色い花粉が出ています。花糸の赤が鮮やか。
稀に種子ができることもあるようですが3倍体なので不稔です。
交雑種のシロバナマンジュシャゲ、リコリス・アルビフローダ。