別名、ビシャコ、ビシャ、ササキ、ヘンダラ。縁起が良いとされていて榊の代わりに神棚や仏壇などで使われます。ヒサカキの名は榊にあらず「非榊」とも一回り小さいという意味で「姫榊」ともいわれます。関東以北ではサカキが育たず、ヒサカキ、椿、楠、杉を神棚に供え、それをサカキと呼ぶ地方もあるようで、サカキのことを真榊、本榊と区別するようです。この近辺でサカキとして売られているのはヒサカキです。
ヒサカキの特徴
ツバキ科ヒサカキ属の常緑小高木、東北以南の山地に分布しています。中国、台湾、東南アジアと温暖な地域に自生しています。ヒサカキは耐寒性、耐陰性があり土壌もあまり選ばず適応能力が高い植物です。
花
花期は3~4月、雌花、雄花、両性花を付けます。上に伸びた枝には横向きに水平に伸びた枝には下向きに花を付けます。花は地味であまりいいとは言えないガスのような匂いがします。
雌花
雄しべが退化した雌花です。蕾の間から花柱がのぞいています。花径2.5~5mmほどで花色は白、ベージュ、薄紫色があります。花柄は2mmほどと短く、葉腋から1~3個の釣鐘型の花が束生します。花弁は5枚、花弁の基部がわずかに合着しています。花柱は深く3裂し反り返っています。
雄花
雄花です。雌花より少し大きく、12~15本の雄しべがあります萼は暗紫色で5枚。
葉
今年伸びた枝は無毛で淡緑色です。葉柄が茎に低い陵を作っています。
光沢がある葉は厚みがあり裏面は淡緑色、楕円形で浅い丸い鋸歯があり先が尖ります。幅1.5~3cm、葉身3~7cmの葉を互生に平面的に付けます。
果実
5月、果実ができました。10月には黒紫色に色付きます。鳥が大好きです。5~7mmの球形の液果には1.5mmの赤褐色の種子がたくさん入っています。
仲間
サカキ 葉は全縁。7~10cmと葉は大きく葉の間隔が広い。6月 白い小さな花を咲かせ、11月、黒い果実をつける。
ハマサカキ 葉は2~4cm、短毛が密集もしくは無毛で肉厚、先が丸く縁が反り返る。花期は10~2月。暖かい地方の海岸などに自生する。街路樹に利用される。
ホタルガ
サカキ、ヒサカキはホタルガの幼虫の食卓です。ホタルガはマダラガ科の昼行性の蛾です。赤い頭部と黒い翅からホタルガの名が付きました。開帳45~6mm、翅は艶消しの黒、前翅の先端に斜めに走る白い帯がある印象的な蛾です。
6月に庭のイチジクの葉にずっと止まっていたホタルガです。雄の触角は羽根毛状、雌はくし歯状です。上の写真は雄です。4~6月と8~9月に成虫が出現します。幼虫は黄色と黒、中央に薄墨色の帯がありその中央に細い黒線があります。側面に長い刺毛、上部に短い毛があります。この毛には毒はありませんが、分泌液に毒があります。触ると接触皮膚炎をおこします。