野草 雑草 植物の構造

キク科~アメリカオニアザミ

昨秋にアメリカオニアザミのロゼッタを見つけました。小さいうちからすでに刺だらけ、危険な植物だとは知っていましたが興味に駆られて育ててみました。そして今日、注意深く残さず取り除きました。

アメリカオニアザミの特徴

キク科アザミ属の多年草で、アメリカの名がありますが原産はヨーロッパで別名セイヨウオニアザミ。1960年に北海道で確認された帰化植物です。アメリカからの牧草、穀物に混入したことによるものです。北海道から本州、四国に分布しています。要注意外来生物に指定されています。

スコットランドの国花はアザミ、バイキングの襲来に苦しめられていた時にアザミの刺を踏んであまりの痛さに声を上げた侵入者に気が付いたことで多くの兵士の命が救われたという伝説によるものだそうです。

アメリカオニアザミ

10月の葉の様子です。草丈は50~150cm。根生葉は羽状に深裂してロゼット状になります。腺点が見えます。

アメリカオニアザミ

表面は緑色で硬い短毛があります。茎にも葉縁、葉先にも葉の上部にも総苞片にも鋭い刺があります。傍を通るにも注意しないとチクリ。

オニアザミ

葉裏にも長毛が生えて白色です。

オニアザミ

花期は7~10月、紅紫色の頭花を付け、外側から開花していきます。球状の総苞片は20列、線形で鋭くとがります。花冠は3~4cm。

アメリカオニアザミ

筒状花のみで濃い紫色rの部分が雄しべ、その中央のピンク色の部分が雌しべ、白いのが花粉。

受粉の仕組み(雄性先熟)

虫媒花で雄性期と雌性期があります。花粉を無駄遣いしない為に昆虫が停まると花粉が出る仕組みになっています。花筒の中央の雌しべを5本の雄しべが合着して包んでいます。雌しべの下には上向きの毛(集紛毛)がびっしりと付いて花粉を守っています。昆虫が停まって刺激を受けると雄しべの花糸の部分が収縮し雄しべを押し下げ中の花粉を押し出します。白い花粉はべとべとしていて昆虫の腹にたっぷりと付きます。この時雌しべも出てきますが閉じていて自花受粉しないようになっています。やがて花粉を出し終わると雌しべの先端が割れ、他のアザミの花粉をたっぷり付けた昆虫によって受粉が完了する仕組みです。

果実

オニアザミの果実

冠毛は白色、種子は長さ3mmの灰白色で痩果です。

駆除

要注意外来生物に指定されているオニアザミ、繁殖力も強く、また刺が鋭いために動物に食べられることもなく他の植物を駆逐してしまうことも多く注意喚起が行われています。除草剤だけでは駆除できません。多年草ですから根が残っていればまた繁殖しますし、花をそのままにすれば冠毛の付いた種は風に乗ってふわふわと飛んでしまいます。花にも刺がありますから注意が必要ですがまず花の部分を摘み取ってごみに捨てます。根はしっかりと残さず掘り起こし、茎葉はしばらく放置してしんなりとしてから扱う方が量も減って刺も多少は和らいで少しは楽です。皮手袋で作業しましょう、軍手では無理です。まずは成長させないこと、ロゼッタの状態で取り除くのが一番です。

 

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