ハチ、アブ、ハエ、見た目や羽音、名前など、区別がつきにくいですね。
ハナアブたち
黒色の体に黄色や橙色の模様を持つハチに擬態したハエ目ハナアブ科に属する昆虫です。完全変態です。
オオハナアブ
- 分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄
- 大きさ 11~16mm
- 出現期 4~12月
黒くて太くて丸い腹部に橙色の帯がよく目立つオオハナアブ、いつもお尻を丸めていてころっとした愛らしい存在です。飛翔能力が高く、ブーンという羽音が高くちょっとドキッとします。もちろんハチのふりをしているだけで刺したりしません。頭部は大きくて半球状で、複眼には格好いい模様があります。複眼の間に3つの赤い単眼があります。複眼が頭頂部で接するのが雄。触角は短く目立ちません。
キゴシハナアブ
- 分布 本州、四国、九州、沖縄
- 大きさ 9~12mm
- 出現期 4~11月
胸部は光沢があり5本の黄色い縦縞、腹部上部に幅広い黄色い帯があります。複眼には黄色地に褐色に点々を散らしたような模様があります。触角は短く目立ちません。
こちらは複眼が接しているので雄です。後ろ脚で器用にかいているような仕草も可愛いですよ。
アシブトハナアブ
- 分布 北海道、本州、四国、九州
- 大きさ 12~14mm
- 出現 3~10月
胸背部は光沢がなく2本の黄色い縦筋があります。小楯板は黄褐色、翅は透明な黒褐色。腹部はやや扁平で、第2節両側縁には黄色い3角形の斑があります。胸部の脇には黄褐色の毛が密生しています。後脚腿節が黒く太く頸部が内側に湾曲しています。
第2節両側縁には黄色い3角形の斑がない黒化型もあります。
雄は三角形の黄色紋がよく発達しています。
シマアシブトハナアブ
- 分布 北海道。本州、四国、九州
- 大きさ 10~13mm
- 出現 4~8月
イヌヌマトラノオの周りを行ったり来たり。模様が軽快で目立ちます。胸部背面は黒地に淡褐色の2本の縦線があり、黄褐色の毛が密生しています。腹部背面は橙黄色の班が目立ちます。後脚腿節が黒く太く頸部が内側に湾曲しています。
シマハナアブ
- 分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄
- 大きさ 10~13mm
- 出現期 4~11月
胸部に2本の灰白帯、腹部に明瞭な赤黄色の三角斑と4本の縞模様があります。花の間を飛び回り蜜を吸い花粉を胸や脚につけて運びます。ユウガギクがぼろぼろ。ナシやリンゴの受粉に使われています。
ナミハナアブに似ていますが、シマハアブの後脚の脛部は弓なりで黄紋があり、ナミハナアブは黄斑がなく真ん中が膨らんだ紡錘形で太く見えます。
生態
幼虫は長い尾を使って水の中を泳ぎます。汚い止水の中で腐った植物などを食べて育ちます。オナガウジムシと呼ばれ気持ち悪がれる外見です。育った水域近くの地中で蛹になる完全変態です。蛹は幼虫の外皮を硬化させるだけで外見はほとんど幼虫と変わりません。成虫の食卓は花の蜜や花粉です。成虫は落ち葉の下などで越冬します。
アブ、ハエ、カ、ハチの違いは?
名前の付け方
ハエ、カ、アブは2枚の翅を持つ双翅目です。双翅目は、触角の長い「長角亜目」(カ、ガカンボなど)と触角の短い「短角亜目」(アブやハエ)に分かれます。蛹が縦に割れて羽化するのがアブ、横に割れるのがハエ。身を守るためにハチに似た模様を持つものにアブという名前が付き、似ていないのが、ハエ。見た目でハエになってしまったのが、オドリバエ科、アシナガバエ科のアブ達です。
ハチとアブの違い
ハチは胸部と腹部の付け根が細い。翅の数がアブは2枚、ハチは4枚。アブはホバリングや後方に移動ができますが、4枚の翅をもつハチにはできません。
ブユ(ブヨ、ブト)に山で刺されて足がはれ上がったことがあります。カの仲間ですが、刺すのは産卵のためで成虫の雌だけ、ただ水質汚染に弱く自然がないと生きていけないので住宅地にはいません。昆虫を捕食するシオヤアブや吸血性のアブなどもいますが、花に来るハチに似たアブは花粉を運んでくれる可愛い虫たちです。