木陰の薄暗い場所をパッと明るく照らすような鮮やかなオレンジ色の花は艶やかです。野草には珍しい朱色の花で古来より生け花茶花として愛されてきたそうです。
フシグロセンノウ
北半球に広く分布し、日本では本州から九州の林床や木の下に分布する日本固有種でナデシコ科マンテス属(旧センノウ属)の多年草です。別名ゼニバナ(銭花)オウサカバナ(逢坂花)。
茎・葉
春のまだ柔らかい葉です。葉は対生。
草丈50~80cm。茎は直立し、疎らに伏毛があり、上部で分岐します。節はやや膨らみ紫赤色を帯びフシグロの名の由来です。
葉は下部に付き、葉柄は無く長さ4~12cmの卵形、楕円状披針形で全縁、基部は細く先端は尖ります。
葉裏です葉縁や葉脈に細網があります。
葉腋から側枝を出し、上部は大きな葉はなく線形の外に反り返った苞に変わります。
花
花期7~9月。主茎頂に1個花を付け左右に分岐して花を付ける岐散花序(2出集散花序)です。萼は長い円筒形で先端が5裂しています。
花径5cm、朱赤色の花弁は5枚、中央の脈がはっきりと目立ちます。先端が円い倒卵形で縁には細かい溝があり平開します。
花弁の基部は白く直角に曲がっています。また花弁の基部には同色の2個づつの鱗片があります。白い花柱が5本見えています。雄しべは10本、花糸は白色、葯は紫色。
まず5本の雄しべが花粉を出し、出し終わると外側に倒れ次の5本が立ち上がって花粉を出します。花粉を出し終わると柱頭が伸びて他の花の花粉を待ちます。この時、柱頭は鉤型に曲がります。
果実
若い果実です。
果実は蒴果で先端が5裂し種子が散布されます。
種子は灰褐色の腎形で小突起が密生しています。