自然教育園の水生植物園の一画では他の植物に先立って群生しているミツガシワに出会えます。
ミツガシワ
- ミツガシワ科ミツガシワ属の1属1種の多年草
- 分布 北半球の高冷地の湿地や浅い水中に自生
- 草丈 15~40cm
- 花期 3月下旬~4月
- 名の由来 葉が槲に似ることから(似てる?)
- 別名 ミズハンゲ(水半夏)
極地周辺植物で残存植物と呼ばれています。残存植物とはかつては広く分布していた植物が環境条件などの変化によって限定的に取り残された植物のことです。
葉
冬のミツガシワ
3月下旬、水面には傍の桜の花びらが散っています。根茎は太く水中に根を下ろし、横に長く伸びて広がります。茎の基部には鞘があり、葉柄は長く伸びて葉は3出複葉で互生。小葉は幅3~8cm、長さ5~10cmの卵形、厚みがあり柔らかく鈍い鋸歯があります。葉には苦み成分が含まれていて江戸時代には生薬が睡菜(すいさい)と呼ばれ健胃薬として使われていたそうです。
5月、花は終わり葉がもう水面を覆うほどになりました。猫や鹿が大好きだそうです。
花
茎先に総状花序を出し花径1cmの白い花を10~20個付け、下から咲き上がります。花冠は漏斗型、花弁に見えるのは5枚の萼片です。
萼片の内側には白い毛がたくさん生えています。雌しべ1本、雄しべ5本。花糸は白色、葯は赤褐色。柱頭は黄色で2裂しています。
黄色い花粉が溢れています。
長花柱花(雌しべが雄しべより長い花)を付ける株と短花柱花を付ける株があり、長花柱花の方が結実します。写真の花は雌しべが短い短花柱花です。
果実
球形の蒴果で黄褐色、熟すと縦に裂け種子が散布されます。長さ2~3mm、光沢がある茶色のやや扁平な種子は水に浮きます。