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キク科~モミジガサ(紅葉傘)

春先のまだ植物の少ない時に丸く畳まれたつやつやの葉が目を引きます。キク科らしい花、ちょっと地味な花です。

モミジガサの特徴

キク科コウモリソウ属の多年草で在来種です。北海道から九州までの山地のやや湿り気のある林床や林縁に群生します。春先にまだ葉が展開する前の若芽は人気の山菜で、東北地方では「シドケ」と呼ばれ、フキのような香りとほろ苦さ、シャキシャキとした歯触りが愛されているそうです。葉が紅葉に似て若芽が畳まれた傘のようなことからこの名が付きました。

モミジガサ

4月7日撮影

4月頃芽生えた茎や葉縁には白毛が生えています。

モミジガサ

5月になるとぐんぐん茎葉をのばします。茎は中空で草丈60~80cm。葉は互生、葉柄は4~6cm、幅10~20cm、長さ8~15cmで掌状に5~7裂します。葉表は艶があり無毛、葉脈が目立ちます。

モミジガサ

下部は長い葉柄を持ち葉も大きく、上部は葉も小型で葉柄も短く中裂です。

モミジガサ

葉裏には疎らに絹毛があります。

モミジガサ

花期は8~9月。長い花柄を出し円錐花序を付けます。長い花柄を持つ頭花を沢山つけます。総苞は9mm、筒状で淡緑白色、総苞片は5枚。

モミジガサ

頭花はやや紫色を帯びた白色の5個の小さな筒状花からなります。花被片は5裂し、先端が2裂する1本の雌蕊の周りを5本の雄蕊が取り囲んでいます。雄蕊は短い花糸と細長い葯からなり葯は合着して葯筒になっています。葯は濃紺色、葯が裂けると雌蕊の先端のブラシ状のもので花粉を外に押し出して昆虫によって運ばれ他の花の受粉に使われます。花粉を出し終えると白い花柱が2裂して反り返り他の花の花粉を待ちます。自家受粉しないような仕組みです。キク科の特徴です。

果実

モミジガサ

そう果で、固い果皮の中に種子が1個入っています。裂開しません。冠毛は褐色を帯びた白色で長さ5mm程、上向きの棘があります。乾燥すると冠毛が開き風に乗ります。

モミジガサ

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