自然教育園 つる植物 植物の構造

スイカズラ科~スイカズラ(吸葛)

初夏の2個づつ付く白い花は可愛くていい香りがしますし、冬、固まってぶら下がる裏側に丸まった冬の葉は面白くて軽妙です。

スイカズラの特徴

スイカズラ

日本全国、東アジアの山野や林縁に分布するスイカズラ科スイカズラ属の在来の半常緑つる性植物です。別名 ニンドウ(忍冬)ー冬でも葉が残ることから。キンギンカ(金銀花)ー花の色が白色から黄色に変わることから、同時に並んで金と銀の花を付けることも。ミツバナ(蜜花)ー砂糖替わりに使われていたほど蜜が甘いから、スイバナ。英名もハニー・サックル。学名はドイツの採集家の名から付いたロニセラ・ジャポニカ。

スイカズラの葉

枝は灰色を帯びた赤褐色で周りの木に巻き付きます。若い枝には毛があり太くなると木質化します。葉は対生。春先の葉は切れ込みのある薄い葉ですが、花期には消えます。夏の葉は幅1~4cm、長さ3~8cm倒卵形、楕円形で先端はわずかに尖り基部は楔形で全縁です。葉裏には葉脈が盛り上がり開出毛が密生します。

ふゆのスイカズラ

冬には大きな倒卵形の葉は落ちやや小ぶりな葉が固まって残り厚みが増し内側に丸まってぶら下がっています。冬を耐え忍んでいるように見えるのでしょうか。

スイカズラ

花期は5~7月。葉腋に短い花柄を出して2個ずつ並んで花を付けます。5~20mmの葉状の苞が付きます。萼は5裂、毛が密集しています。

サネカズラ

花冠は長さ3~4cm。基部は筒部、上部は2唇形で下部は線形、上部は卵形で浅く4裂します。花色は白色、淡紅色から黄色に変化します。花冠の外側には細毛が密生しています。花柱は白色で1本、柱頭は球形で緑色、雄しべは5本、花糸は白色、葯は黄色で共に花冠から突き出します。筒部には甘い蜜を貯め、甘く上品な香りがあります。

サネカズラの花

果実

サネカズラの果実

まだ若い果実です。果実は5~7mmの液果です。

スイカズラの果実

9~12月に果実は光沢がある黒色に熟します。種子は黒色、3mmの扁平でいびつな広卵形です。

生薬から酒、疫病除け、香水まで

忍冬 秋から冬にかけて茎葉を天日干しで乾燥させた生薬、利尿作用、抗菌、抗炎症作用がある。
金銀花 蕾を日陰干しした生薬、忍冬よりも効能が高い。風邪薬にも
忍冬を煎じて入浴剤に、腰痛、皮膚病に効果あり
忍冬酒 花と蕾と砂糖をホワイトリカーや味醂で漬けて熟成させたもの。淡黄色で甘い香りがするお酒で利尿作用、強壮作用があり皮膚病にも効果があるとか。徳川家康のお気に入り。
若芽、若葉は塩ゆでし灰汁抜きをして水に晒してお浸しや油炒めなど
香水や精油 上品な香り

奈良県大神神社では4月に鎮花祭(薬まつり)が行われ薬草忍冬(スイカズラ)とゆり根がお供えされます。大宝律令に国家の催事として毎年行うよう定められた疫病除けの由緒ある祭りです。

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