ホトトギスの仲間は東アジアに19種類が分布し、日本には13種類ありそのうち10種類が日本固有種です。
ホトトギス
- ユリ科ホトトギス属の多年草
- 分布 関東以西
- 日本原産
- 草丈 30~10cm
- 花期 8~10月
- 名の由来 ホトトギスの胸の模様に似ることから
- 別名 杜鵑草、時鳥草(トキドリソウ)、鶏脚草(ケイキャクソウ)油点草(ユテンソウ)
ヤマモモの木の木陰に顔を出したホトトギス、見れば見るほど変わった花です。茎は枝分かれせず斜めに伸び、時に垂れ下がります。
葉
出始めの葉には油染みのような模様があり「油点草」の名はここに由来します。この模様は花が咲くころには消えます。
茎には上向きの毛が密集しています。葉は幅2.5~5cm、長さ8~18cmの葉先が尖った長楕円形で互生に付きす。両面に軟毛があり、葉脈は縦向きに並びで葉柄がなく茎を抱きます。
花
開きかけた蕾です。茎頂、葉腋に地面近くから万遍なく1~3個の花を上向きに付けます。短い花柄で花径は3~4cm。花は幅の広い3枚の外花被片と小さめの3枚の内花被片の6枚です。毛が目立ちます。花は4日間咲いています。
内側の花柱は太く柱頭は深く3裂し、その先が2つに分かれ放射状に垂れ下がります。その上部にはキラキラした水玉の様な腺毛状突起が並んでいます。6本の花糸は花柱に密着して上方に伸びたあと中央から放射状に垂れ下がります。大きな葯が目立ちます。花糸と花柱にも斑があります。
花被片の外側は白色で毛があり、内側には紫紅色の斑点が基部には黄色い斑点があります。この黄色い斑点は蜜のありかを示す昆虫への目印です。斑点は個体によってかなりの差があります。外花被片の基部には3つに分かれた距があり蜜が溜まっています。
雄性先熟
雄性期には花糸が放射状に垂れ下がり葯が下向きになって距の中の蜜を吸いに来た昆虫の背中に花粉を付けさせます。この時には柱頭は上向きで自家受粉を防ぎます。その後、雌性期には柱頭が垂れ下がり蜜腺を目指してきた昆虫の背中に付いた花粉で受粉します。雄しべは役目を果たすと落ちて子房が現れます。
果実
果実は長さ4~5cmで先の尖った三角柱です。
熟すと先端が3つに割れカラカラと音がして黒っぽい種がのぞいています。
蒴果で長さ2.5mmの扁平な先が尖った卵形で茶褐色で表面に網目模様があります。こんなにたくさん種が入っています。こぼれ種でよく増えます。
ヤマホトトギス
- ユリ科ホトトギス属の多年草
- 分布 北海道、本州、四国、九州
- 在来種
- 草丈 40~70cm
- 花期 7~9月
茎には下向きの毛があります。葉は幅2~5cm、長さ8~18cmの長楕円形で先端が尖り縁が波打ちます。葉柄はなく茎を抱きます。
小花柄は1~3cm。花被片の外側は白色で毛があります。内側の斑点が透けて見え、外花被片の基部にあるピンク色の距が目立ちます。
ほころんできました。ホトトギスとは異なり茎頂や葉腋に枝分かれして散房花序を付けます。
内花被片3枚、外花被片3枚で強く反曲して下を向きます。白色に紅紫色の斑点があり基部の斑点は大きく密に付きます。
柱頭は3裂しさらに2裂します。雄しべは6本、花柱に密着して伸び中央から垂れ下がります。花糸の外側や花柱の基部にも斑点が見えます。花糸は黄白色、葯は黄色です。水玉の様な腺毛状突起が疎らに付いています。花は2日間開きます。
タイワンホトトギス
- ユリ科ホトトギス属の多年草
- 自生地 沖縄や台湾
- 草丈 50~100cm
- 花期 9~11月
園芸品種ではホトトギスとの交雑種が多いそうです。茎には毛が斜上しよく枝分かれします。葉は互生、幅2~4cm、長さ8~13cmの倒披針形で先端が尖り、茎を抱きます。葉表はわずかに毛があり葉裏は有毛。
茎頂や葉腋に枝を出し散房花序を付けます。内花被片3枚と外花被片3枚、白色、淡紫色に基部は黄色、縁は濃青色になりグラデーションが目を引きます。濃紫色の小さな斑紋があります。裏面には疎らに毛があります。花柱は3裂しさらに2裂します。雄しべは6本、花柱に密着して伸び葯を下向きに付けます。花糸や花柱、柱頭には濃紫色の斑点があります。
暑さに強く丈夫、交配に使われます。
仲間たち
ヤマジノホトトギス
高さ30~60cm。花被片は平開で反り返らない。基部には黄色い斑点がない。
花糸に斑点がない。花は2日間開花。花期8~10月
キバナノホトトギ
高さ10~20cm。ユリに似た鮮やかな黄色い花で赤紫の細かい斑点がある。
茎の先端と葉腋に1~2輪つく。宮崎県に自生し絶滅危惧種。
シロホトトギス
薄いピンクの花に雄しべと雌しべはピンク色。斑点がない。
ジョウロウホトトギス
茎が下向きに垂れ下がり赤紫色の斑点がある黄色い花を付ける四国の太平洋側に分布。