同じウコギ科チドメグサ属の多年草です。
チドメグサの特徴
湿った道端や庭の一角によく見かけるこの植物、芝生の中に入り込んだら大変らしいです。チドメソウ(血止草)、名前の由来は、血止めに使われていたことによります。収斂作用、止血作用があり、よく洗った茎や葉を揉んだりすり潰して傷口に塗ったり、乾燥させて生薬として使われるそうです。私は経験がありませんが、実際に子供の頃よく傷口に塗っていたという人がいました。本州から沖縄まで分布します。原産はユーラシア。朝鮮半島、中国、アジア、オーストラリアからアフリカまで葯100種が分布しています
葉
茎が分枝して匍匐して節からひげ根を出して群生します。葉は1~1.5cmの円形で浅く裂けて光沢があります。
花
4月から10月にかけて葉腋に1本の短い花柄を出して、白色や赤紫の小さな花を球形に付けます。(上の写真の左上)。両性花です。子房が大きくて花弁は5枚。直径1.5mmで雄しべが5本、雌しべ1本、花柱が2本。(果実は右側中央)
果実
果実は直径1mm。やや扁平な球形で中に2個の種子があります。
オオチドメの特徴
北海道から九州の山野にやや湿った半日陰の場所に自生する在来種です。朝鮮、中国、台湾にも分布しています。別名ヤマチドメ(山血止)
葉
草丈15cm。茎は細く匍匐して節からひげ根を出し群生します。葉は直径1.5~3cmの腎円形、葉表は無毛、葉裏には葉脈上に散在します。葉は厚みがあり光沢があります。葉は7~9浅く切れ込み基部は心形、縁には鈍い鋸歯があり特に基部に入ります。
花
花期は6~10月、葉腋に長い花序を出し葉より高い位置に淡色白色の小さな花を十数個付けます。頭状花は直径3mm、花は1.5mm。子房は2室、雌しべ1本、花柱は2本、雄しべは5本、白い花糸に黄色い葯を持っています。
果実
果実は直径1.5mm、やや扁平な球形です。花柱が残っています。
オオチドメは自然教育園の水生植物園で見られます。
仲間たちの違い
チドメグサ
湿りけのある市街地によくみられる。葉が密に生え葉の切れ込みは浅い。花序が葉の下に紛れて見つけにくい。
オオチドメ
山地の湿りけのある場所に見られる。葉は切れ込みが浅く光沢がある。茎は匍匐するが花序が立ち上がり葉より高い位置に見られる。
ノチドメ
湿りけのある郊外の道端や田の縁に見られる。葉は切れ込みが深く葉の両面に長毛がある。花柄が葉より短い。
ヒメチドメ
山地の湿りけのある場所に見られる。葉の切れ込みが深く、間が広い。花の数が少なく10個以下。
オオバチドメ
湿りけのある田の縁に見られる。大型の品種。葉の切れ込みは浅いが鋭い。花序に枝がある
ブラジルチドメグサ
ブラジルチドメグサは、同じウコギ科チドメグサ属の湿生植物で、特定外来生物、移入規制種に指定されています。アクアリウムなどの観賞用として輸入されたものが、川に投棄され繁殖したとみられ、1998年に熊本の菊池川で確認されました。イギリスでも侵略的外来種に指定されています。
水面一面に繁茂して、水中生物の生態系に重要な影響を与えます。絡み合った茎を切断して除去する必要がありますが、その際残った茎の切れ端からでも繁殖する厄介な植物です。原産は北アメリカや南アメリカ。皮肉にもその自生地の一部では絶滅危惧種になっています。