池田山公園 植物の構造

カバノキ科~クマシデ(熊四手)

沢山の葯を零れるように付けて束になってぶら下がる雄花序や、コロンとした果穂など見上げれば空に映えて地味ながら興味深い樹です。

クマシデの特徴

カバノキ科クマシデ属の落葉高木の在来種です。本州から九州朝鮮半島、中国の日当たりの良い山地の谷沿いなどに分布しています。材が固く家具や建築材、農機具の柄などに利用され、イシシデ、カタシデとも呼ばれます。白紙で作られた玉串や注連縄に垂らす紙に花穂が似ていることからシデ(四手)の名が付けられています。地方ではソネとかソロと呼ばれます。

クマシデ

樹高は10~15m。若木は平滑で皮目が縦に並び、老木になると黒褐色で浅く縦に裂け剥がれます。

クマシデの葉

葉は互生、幅2~5cm、長さ5~10cmの狭卵形から長楕円形、先端は尖り基部は円形または心形、葉縁には重鋸歯があります。側脈は他のシデ類より多い20~24列。葉表は無毛、葉脈は深く裏面に出っ張り、裏面の脈上に長毛があります。茶色を帯びて黄葉します。

花期は4~5月。雌雄同株です。

雄花序

クマシデ雄花

葉が展開した後、前年枝の葉腋から垂れ下がります。長さ3~5cm。6mmの長卵形の苞の縁には毛が生え、苞の下に1個の雄花が付き8~10個の雄しべがあります。葯の先には長毛があり、薄緑色から赤色に変化し白色の花粉を出します。

クマシデの雄花

雌花序

クマシデ雌花

本年枝の先端に最初上向きに付き徐々に下垂します。長さ5cm、苞の下に雌花を対に付け花柱は2裂します。

果実

クマシデの菓穂

果穂は5~10cm。雌花の小苞は花後大きくなって葉状の果苞になり密生します。果苞は1.5~2cmの楕円形で鋸歯があります。イヌシデなどは種子が見えますがクマシデは果苞の基部にある鱗片に包まれています。60個ほどの果苞からなり果苞の基部に種子が1個付きます。緑色の菓穂は秋に茶色になります。

クマシデの種子

種子は褐色の堅果で4mmの扁平な楕円形です。種子は熟すと花序から離れ苞が翼になって散布されます。

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