ベランダで見つけた蛾は,チャドクガの成虫でした。
以前実家のサザンカの木にチャドクガの幼虫が発生して大変でした。今でもツバキやサザンカの傍を通るときにはちょっと気にかけて通ります。毒針毛は抜けやすく傍を通っただけでも被害にあうのですからやっかいな蛾です。チャドクガではありませんが、以前サクランボの剪定していて葉裏にびっしり付いた毛虫に刺されたことがあります。それほどの痛みや痒みはありませんでしたが、しばらくは下から葉裏チェックをしていました。
チャドクガは見過ごせないので殺虫剤を吹きかけました。排水溝に入っていってしまいました。家の中に入ってきてしまったら、そっと雑巾などをかけてそのままくるんで捨てるのがいいですね。
チャドクガ
- チョウ目 ドクガ科
- 分布 本州から九州、対馬
- 出現 6~7月と9~10月 年2~3化
- 幼虫の食草 ツバキ科の葉
- 成虫 飲まず食わず
- 完全変態
- 越冬 卵
幼虫
あちこちの杭にびっしり。少ない場所を選んで撮りました。
葉に毒針毛の付いた卵塊の状態で産卵されます。産卵は7~8月と11月。幼虫が見られるのは4~9月、終齢幼虫は27mmほど。頭部は黄色、体色は黒色で黄橙色の筋が入り白と黒色の長毛が生え、黒色の瘤状隆起が並びます。若齢幼虫はツバキ科の植物の葉に数十匹頭を並べて集団で生活します。葉の表皮を残して食べ、葉を食べつくすと号令に従うように規則正しく並んで移動していきます。また一斉に頭を振る一見ユーモラスな行動をするそうです。でもこの行動は大きく見せるまたは毒針を振りまく行動との説があります。食欲旺盛です。
成虫
成虫は24~35mm、雄はやや小さく茶褐色、雌は黄渇色。前翅には2本の白い線があり外縁に2個の黒点があります。基部から暗褐色の鱗粉がつき黒点の脇の部分に帯が伸びます。櫛型の触覚は雄の方が大きい。
交尾
6月末、自然教育園の杭で交尾中のチャドクガを見つけました。この個体は黒い斑点がありません。上の大型の黄色いのが雌、下の茶褐色のが雄。雌は壁や葉裏で雄を待ちそれを見つけた雄は翅の下に潜り込み生殖器に差し込みます。半日ほどこのままです。チャドクガは蛹中に消化器を生殖器に換えてしまうので成虫になってからの10日間ほどは飲まず食わずで子孫を残すためだけに過ごします。
毒針毛
毒針を作ることができるのは2齢幼虫から終齢幼虫までですが、その他は毒針を移行させてずっと毒針を持ち続けます。羽化直後には卵殻に付着していた毒針が移行し、2齢幼虫は背中に毒針を数百本、終齢幼虫になると600万本と増えます。驚きの数です。数種類の毒性物質を持ち、しかも針には返しがあり抜けにくい。雌の成虫は毒針をお腹につけて蛹から出て、卵にすりつけて天敵から守ります。ただ雄の成虫は毒針を持っていません。
刺された時の対処法
刺された後数時間たってから赤く腫れあがり痒み出て2~3週間痒みが続きます。神経毒です。
触ったり擦ったりせずガムテープなどで斜めにそっと押さえてとる
流水でよく洗う
抗ヒスタミン剤を塗る。ひどい時は病院へ。
衣服もガムテープなどで丁寧に取り除く
洗濯はほかの衣服とは別にする。毒はタンパク質で熱に弱いので熱いお湯やアイロンが効果がある。
駆除
卵塊やまとまっている若齢幼虫の時に駆除します。風のない日に肌を露出せず風上側から枝ごと取り除きます。幼虫を刺激すると糸をはいて散らばってしまうので静かに取り扱います。袋に入れたら毒針毛は抜けやすいので飛び散らないようにしっかりと口を結びます。今はチャドクガを固めるスプレーがあるそうです。それなら安心ですね。そんな状況にならないことを祈るばかりです。予防は剪定をして風通しが良くなるようにします。専門の駆除業者がいるそうです。