スマートだけど後脚は不釣り合いに太く蟹股、幼虫はアリに似ています。
ホソヘリカメムシ
- カメムシ目.ホソヘリカメムシ科
- 分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄
- 大きさ 14~17mm
- 出現期 4月~10月
- 食草 マメ科、イネ科
- 不完全変態
- 越冬 成虫
成虫
成虫の腹には黄色と黒の縞模様があり翅を広げると現れます。雄の成虫は後脚腿節が不釣り合いなほど太く長くガニ股、内側に刺の列があります。この脚は縄張り争いの時に相手を挟み込む大事な役割があります。頭頂部には単眼が2個、触角は側面やや上方から出て4節からなります。
ホソヘリカメムシの一生
北海道などでは1世代ですが関東以南では2世代、3世代になります。幼虫は一令齢幼虫は何も食べずに脱皮して2齢幼虫になり食草を目指します。
初期の幼虫は蟻酸をもつアリに擬態して黒色で形も似ています。白い線はくびれを意識しているのか、動きもアリのようです。色が褐色に変わり翅芽も目立つようになりお尻が大きくなってカメムシらしくなっていきます。
5齢幼虫でしょうか。終齢幼虫になるのに20~30日を要し、色も赤褐色になります。羽化しても飛び立てるようになるのに2日ほどかかります。
集合ホルモン
集合ホルモンは集団で生活するカメムシ、ドクガや、ゴキブリなどが発散します。食草にはこの集団ホルモンが発散されていて、天敵の規制バチも呼び寄せてしまいます。卵を産み付ける場所が食草と違う場所なのは天敵の寄生バチに卵を産み付けられないようにするためと考えられています。その心配がなくなった2齢幼虫はこの集合ホルモンを目指し歩きます。
<口針を葉に突き立ているようです。つんつんしていました。>
共生細菌
捕食性の昆虫と違い植食性の昆虫は偏った食事になり栄養が不足します。体内に共生細菌を住まわせてサプリ代わりに利用し共生します。ほとんどが母子で受け継がれる垂直伝達です。
ホソヘリカメムシはこの共生細菌が他の昆虫とは違う役割や仕組みを持っているそうです。ホソヘリカメムシは垂直伝達ではなく幼虫が口から摂取して共存する環境伝達です。消化管に盲嚢という袋状のものが発達していてそれぞれが役割を持っています。
微生物の中には化学物質の分解や浄化の機能を持つものもあり、研究されてきました。その中のバークホルデリアという微生物をホリヘリカメムシの幼虫が土壌から取り込んで共生させることによって殺虫剤の耐性を獲得していることが分かったそうです。
またこの微生物とと共生しているも個体はしていないものに比べてサイズも大きく、産卵される卵の数も多いそうです。(産業技術総合研究所の20124/25の記事を参照)