別名ペンペングサ。果実の付いた花茎を果実の柄を持って下に引き皮でぐら下がった状態にしてでんでん太鼓のようにくるくる回すと小さな音がしますね。・・・昔よく遊びました。果実が三味線のばちに似ているからシャミセングサの名もあります。
ナズナの特徴
アブラナ科ナズナ属の越年草。ナズナは麦とともに渡来した史前帰化植物です。ナズナの名は夏には枯れてしまうことから「なつな(夏無)」、撫でたくなるほどかわいいから「なでな(撫菜)」から転化したといわれています。英名の意味は「羊飼いの鞄」ナズナの果実の形が似ていることによります。
葉
草丈10~40cm。秋に芽を出しでロゼッタ状で冬を越します。根生葉は葉柄があり羽状に深裂しています。主根は太く長く地中深く伸びています。茎は直立して分岐し、開出毛が散在します。葉は葉柄がなく披針形で鋸歯があり基部は矢じり型で茎を抱きます。葉は上部になるほど切れ込みが浅く細くなります。表裏とも毛があり縁に毛が並んでいます。成熟すると根生葉はなくなります。
花
花期3~6月。春になると花径を伸ばして初夏にかけて花を咲かせます。萼片は長楕円形で毛があります。花は白色で花径3mmの十字花です。雄しべが長いものが4本と短いものが2本、短い2本の雄しべの両側に蜜腺があります。雌しべが1本。総状花序に次々と下から咲いていき、下では果実が成熟していき上には花が次々と咲いていきます。上の写真の花は果実が伸びてきているのが見えます。
沢山の虫たちが来ます。
果実
果実は長さ6~7mm、先端が窪んだ倒三角形の扁平な短角果です。熟すと外皮が落ち種は2室を分けていた内壁の外縁に付きます。上の写真の右上部に種が落ちた後の内壁部分が残っています。種は長さ1~2.5mm淡褐色で全体に突起があります。
ナズナの多様性
秋に芽を出し冬を越して早々に花をつけるものや春になってから芽を出すもの、冬に花をつけているものなど、また無限花序と呼ばれるほど1つの個体の中でも花と一緒に成熟した果実を付けるなど多様な生育状態です。冬期では花が開かない状態で受粉します。ナズナは「自殖」といって他の個体がなくても子孫を残すことができます。クローンの単調さも多様性によって補完されているのでしょうか。
春の七草
中国では6世紀に日本では10世紀には記録に残っているほど古くから食用として利用されてきました。冬場の貴重な食糧であったようです。
春の七草のひとつ。ナズナとしてタネツケバナが入っていることもあるようです。
若菜はおひたし、和え物、酢の物、てんぷら、炒め物、味噌汁、生でもと幅広く食べられます。茹でるでるとあっさりと生ではピリッと。
根は生で、きんぴら、漬物。まだ食べたことがないのですがゴボウより甘く良い香りがするそうです。
また薬草として解熱、止血、止瀉、利尿、高血圧などの効能があります。
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