ノイバラの特徴
沖縄以外の日本と朝鮮半島の山野に自生するバラ科バラ属のつる性落葉低木です。茨とは棘の多い植物の総称です。
幹・葉
樹高1~3m。樹皮は黒紫色、新枝は緑色。茎は半蔓性で直立し、途中から斜めに立ち上がり他の木に刺を引っ掛けもたれかかります。刺は表皮が変形したもので葉腋の下に一対あり赤褐色で下向きに撓みます。
葉は互生、小葉が5~9枚付く奇数羽状複葉です。小葉は2~5cmの楕円形で頂小葉は側葉より大きく葉表は無毛、裏面には軟毛が密生しています。柔らかく皺があり細かい鋸歯があります。葉軸には軟毛と小さな刺があり櫛状に裂けた托葉が合着しています。托葉には腺毛があります。
花
花期は4~6月。円錐花序を付け、2cmの白い花を房状に付けます。萼片は広披針形で縁に毛があり小裂片が付いています。先端が浅く凹んだ倒卵形の花弁が5枚、雄しべは多数、花柱は合着して柱状になって突き出ます。芳香があります。
果実
6~10mmの球形の偽果です。偽果とは子房以外の部分が肥大して果実のようになったもので、ノイバラは花托筒(萼筒)が肥大したものです。
秋には赤く色づき、艶やかな果実になります。花托が残っています。
果実は冬まで残っています。しわしわです。
中には4mmほどの痩果が5~12個入っています。
花もきれいで赤い実も沢山つけますが、雑草としてみれば刺が多く切りとっても根元から萌芽してなかなか厄介者です。
香水の原料、房咲きの園芸品種の原種として、また接ぎ木の台木などに利用されています。果実は10月頃の半熟状態で採取され利尿剤、瀉下薬に利用されるそうです。
バラハタマフシ(薔薇葉玉附子)
6月、ノイバラの葉に1cm程の小さな突起のある赤い球が付いているのが多く見られました。バラハタマフシ(薔薇葉玉附子)、薔薇の葉にできる玉のようなこぶ(附子)の意味で、タマバチ科バラハタマバチに卵を産み付けられてできた虫こぶです。虫こぶは産み付けられた卵の周辺の葉の組織が変質してできたもので黄緑色→ピンク色→赤色と変化します。卵から孵化した幼虫は虫こぶの中身を食べて成長します。虫こぶは20日ほどで地面に落下し幼虫はそのまま成長し蛹になって春になれば穴を開けて脱出しまた葉に卵を産み付けるそうです。バラハタマバチは3mmほど、雌の腹は赤く、雄は茶褐色だそうです。