万葉集では愁いを忘れさせてくれる忘れ草の名で詠まれています。ノカンゾウが明るい緑色の葉に橙赤色の色鮮やかな花を沢山つけ賑やか、少し遅れて一回り大きな八重咲のヤブカンゾウが花を付けます。
ノカンゾウ
- ツルボラン科ワスレグサ属の多年草（ユリ科から分割されてススキノ科になり、更にツルボラン科に変更）
- 学名 ヘメロカリス、ギリシャ語で一日＋美の意味です。
- 分布 本州から九州、朝鮮半島の土手、川辺、湿った草原などに自生
- 在来種
- 草丈５０～８０ｃｍ
- 花期 ６～８月
葉
幼葉の頃は区別がつきません。春先の新芽は灰汁が少なく甘みがあり白い部分の独特のぬめりが美味、生でも、茹でてお浸し、和え物、また油との相性も良くて揚げても、スープでもよし。蕾を乾燥させたものは金針菜と呼ばる中華食材です。花はエディブルフラワーとして利用されます。
根は一部が紡錘形に膨らみ分かれて増えます。根生葉は葉幅１～１.５ｃｍ、長さ５０～７０ｃｍ、主脈は凹み途中から垂れます。
花
花茎の先端が２つに分岐し１０個ほどの花を付け下から次々と花を咲かせます。１日花です。花色は橙赤色、茶褐色、赤色の濃いものはベニカンゾウと呼ばれます。
花被片の中央に淡黄色の縦筋が入ります。花筒部分３～４ｃｍ。
花径７ｃｍ、花被片は６枚、内花被片がやや長く幅も広く縁が波打ち先がやや反り返ります。
雌しべは雄しべより長く先端は切形、雄しべは６本、花被片より短く黒褐色の葯が破れて黄色い花粉が溢れています。
果実
果実は２～２.５ｃｍの蒴果です。結実は稀ということですが、あちこちで見かけます。種子はピカピカ光る黒色。
ヤブカンゾウ
- ツルボラン科ワスレグサ属の多年草
- 分布 北海道から九州の林縁や草地
- 中国からの有史前帰化植物
- 中国に自生する一重咲きのカンゾウの変種の八重咲き種とか
- 草丈 ８０～１００ｃｍ
- 花期 ７～８月
葉
根は淡黄褐色の紐状、末端は紡錘形に膨らみライナーを出して増えます。葉は幅２.５～４ｃｍ、長さ４０～６０ｃｍの広線形でとノカンゾウより幅が広く柔らかく葉が垂れやすい。
花
花径８ｃｍとノカンゾウより大きく花筒は２ｃｍとノカンゾウより短い。花色は橙赤色。雌しべ雄しべが弁化して八重咲に、雄しべも一部残ります。
ヤブカンゾウは３倍体で果実はできません。