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ユリ科~オオバギボウシ(大葉擬宝珠)とコバノギボウシ(小葉の擬宝珠)

東南アジアに自生し古くから観賞されてきたギボウシ、ギボウシの名は蕾が擬宝珠(ぎぼし)に似ているところから、学名のホスタで呼ばれることがありますがオーストリアのお医者さんホスト氏の名に由来します。ウルイはアイヌ語が起源、ゲーロッパは蛙が葉の下を住処にすることから、ギンボ(青森県)タキナ(高知県)など地方名もあります。英名は葉の形が似ていることからオオバコ百合の意味です。

ギボウシの特徴

ユリ科ギボウシ属の多年草です。20~40種あると言われますが、ギボウシは他種の交雑種を作り分類が難しいようです。高さは15~150cmと矮性種から大型種まで沢山の品種があります。

オオバギボウシ

オオバギボウシの総状花序

北海道から本州の山地、林内や草地などやや乾いた半日陰の場所に自生しています。別名トウギボウシ、名の使い分けに付いては諸説あります。

先の尖った楕円形で光沢のあるオオバギボウシの葉

高さ60~100cm。葉は根生し幅10~15cm、長さ30~40cm。長い葉柄があります(若い芽の時には葉柄はありません)。基部が心形、先が短く尖った広楕円形で光沢があり縦方向にくっきりと葉脈があります。

オオバギボウシの総状花序

花期は7~8月。花茎を長く伸ばして総状花序を付け、下から順に咲きあがります。淡紫色、白色の花被片は4~5cmの細長い6裂した筒状、他のギボウシのような花被の内側に筋がありません。花被片より長い6本の雄しべとそれより長い1本の雌しべが外側に曲がり突き出しています。花柄の付け根は1枚の白い苞が包んでいます。朝に開花して午後には萎びる1日花です。

透明感のあるオオバギボウシの花

果実は長さ2cmの細長い長楕円形、熟すと3裂します。種子は長さ8mm、黒色で扁平な長楕円形で片側に翼があります。

コバノギボウシ

北海道から九州の日当たりの良い湿地に分布しています。

コバノギボウシ

草丈30~50cm。葉は根生し幅5~8cm、長さ10~16cmの狭卵形から卵状楕円形。基部は翼状になりが葉柄に流れます。光沢はあまりなく並行脈があり脈が凹みます。

コバノギボウシ

花期7~8月。30~40cmの花径を伸ばし淡紫色の花を横向きに付けます。4~5cmの細長い6裂した筒状花で、舟状に窪んだ苞が花の上側に付くのが特徴です。

コバノギボウシ

花被片の内側には濃紫色の脈があります。花被片より長い6本の雄しべとそれより長い1本の雌しべが外側に曲がり突き出しています。花糸花柱は白色葯は黄色。

果実

コバノギボウシの果実

果実は長さ2.5cmの蒴果、3室あり熟すと3裂し種子が散布されます。種子は長さ1cm、楕円形で黒色で片側に翼があります。

山菜として

若葉が山菜として利用されています。癖がなくシャキシャキとした食感で浅漬け、胡麻和え、炒め物、汁物、てんぷらなど。特にオオバギボウシは美味。

誤食事故

若葉の頃にはオオバギボウシとよく似る有毒のバイケイソウ、誤食事故が起きているそうです。バイケイソウはユリ科の多年草で林などの湿ったところに群生しています。高さ100~150cm、7月に白色から薄緑色の小さな花を付けます。アルカロイドを含み嘔吐、下痢、血圧降下、痙攣などの中毒症状があります。

見分け方

オオバギボウシは苦味はありませんが・・バイケイソウは苦味があり不快な味がします。
オオバギボウシの芽は巻いていますが・・バイケイソウは折りたたまれています。
オオバギボウシは葉柄がありますが・・バイケイソウは葉柄がありません。
ただ若芽の時はオオバギボウシの葉柄はないので区別がつきにくいようです。

その他のギボウシ

古くから観賞されてきたギボウシの園芸品種が生まれたのは将軍様まで花好きで園芸ブームが起き、外国にも輸出されていた江戸時代です。そしてシーボルトによってヨーロッパに紹介され園芸品種が生まれ、更にアメリカにも渡り大人気に、アメリカには協会があるほど愛好者が多いそうです。

鮮やかな葉色の斑入りのギボウシの葉

葉色も濃い緑から明るい緑、青みがかった緑や白く粉を吹いたようなもの、黄金色まで、艶があるなし、斑入りも様々。

斑入りの方が華やかですが班がない方が花付きがよい。

高さ15cmの矮性種のギボウシの葉

高さ15cmの矮性ののギボウシ。

総状花序に沢山の花を付ける矮性のギボウシ

花は1枚の緑色の舟形の苞に包まれています。上の写真は矮性のギボウシ。苞は品種によって特徴があるそうです。

花被内に濃紫色の筋が入り花被の縁が透明になっているギボウシ

花被片内側には濃紫色の筋が入り花径は3~15cm。次々と花を付けますが、朝開いて夕方には閉じます。花被片の周りの透明な部分が不思議。

育て方

日本原産なので気候は問題なく明るい日陰が向いています。葉を鑑賞するものは日陰の方が美しい葉を楽しめます。冬には地上部分は枯れます。耐寒性はありますが凍ると枯れます。自生場所からも湿ったところを好みますが、乾燥にも比較的強い植物です。

植え替え
2~3月、9~10月。株が密集すると生育が悪くなるので数年に一度は株分けもかねて掘り上げます。

増やし方
株分けと種蒔きで、株分けは3芽を付けて切り分け、芽が隠れるように植えこみます。種蒔きは10~11月に果実の先端が割れてから採取した種を乾燥させて2~3月に蒔きます。

病害虫
白絹病 根元や土の表面に白い糸のようなものが付着します。株が腐ってしまうのですぐ抜いて廃棄します。高温消毒や薬品消毒などで対処します。
ナメクジ 若芽や若葉が食べられます。

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