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エゴノキ科~エゴノキ

北海道から沖縄まで山麓、雑木林に生えます。公園や庭木にも見られます。

エゴノキの特徴

枝先に白色の沢山の花をつけるエゴノキ

エゴノキ科エゴノキ属の落葉高木。葉の色が明るくキラキラと光るエレガントな花とよく合います。「森のシャンデリア」と呼ばれます。花の時も果実の時も萼が可愛いですね。熟して果皮が剥がれる時も趣があります。花の色は白色とピンク色。ピンクの花はシンボルツリーとして人気の「ピンクチャイム」という品種です。

幹 茎 葉

樹高7~8m。大きくなると10mを超します。幹はあまり太くならず株立ちになります。途中で大きく曲がったりと個性的な姿に。幹は暗紫褐色で滑らかです。古木になると糸状に剥がれます。若い枝は緑色で初め星状毛があり後に無くなります。

暗紫褐色の幹とエゴノキの果実

茎はジグザグに曲がり水平に張り出します。葉は互生に付き、葉柄3~7mm、幅2~4cm、長さ4~8cmの卵形で先端が尖ります。縁には浅い鋸歯、もしくは全縁で表面は艶があり無毛、裏面は淡緑色。若葉の時は葉裏と葉柄に星状毛があります。秋には黄色くなりすぐに落葉します。

ジグザグに曲がり水平に張り出すエゴノキの葉

エゴノキ・ピンクチャイム

花期5~6月。新枝や葉腋に1~6個の花が垂れ下がって付きます。萼は淡緑色で倒円錐形、浅く5裂しています。ハナバチが花粉を運びます。花柄2~4cm、花径2.5cm、深く5裂し、花弁裏には星状毛があります。雌しべは1本、雄しべは10本、雌しべは雄しべより長く雄しべは花冠より短くなっています。花弁の内側はキラキラしています。

ピンクチャイムの花、キラキラ光る花弁の内側

果実

星状毛があり淡灰色のエゴノキの果実

果実が付きました。表面には星状毛があり淡灰色に見えます。葉脈がくっきり見えます。

萼が色づいて愛らしいエゴノキの果実

萼が色づいて小さな手でつかんでいるような可愛い実が沢山付いています。先端に長い花柱が残っています。果実は長さ1.5cmの卵形。8~9月熟すと縦に裂けます。

果皮が剥がれ落ちたエゴノキの種

果皮が剥がれ落ち1cm程の褐色の種子が1個現れました。縦に溝があります。

冬芽は3mmと小さく目立ちません。表面には星状毛があり基部に副芽が付きます。

名前

エゴノキ 果皮がえぐみがあることからこの名前が付いた。
ロクロギ 伝統工芸のろくろ細工に使われる木であることから付いた名前。緻密で入手しやすいので傘の柄や糸巻などの日用品やこけしなどに使われる
チシャノキ ムラサキ科のチシャノキと混同されたことによる
セッケンノキ 果皮を石鹸の材料に使われたことから

果皮にはエゴサポニンという毒が含まれます。セッケンノキといわれていた通り、縦に割れるようになった果皮を砕いて布袋に入れ水で揉むと泡立ち汚れが落ちるそうです。
実験した人がいます

http://sas2005.eco.coocan.jp/33_soap/soap.html

虫こぶ

エゴノキには虫こぶが7~8種類あります。

エゴノキハウラケタマフシ
タマバエが葉裏に作る虫こぶです。2~7mmの球形で白い長毛があり1匹の幼虫が入っています。

エゴノキメフクレフシ
タマバエが先端に近い副芽や頂芽に作る虫こぶです。5~16mmほどの先端が尖った卵形で数匹の幼虫が入ります。日に当たると赤くなります。

エゴノネコアシフシ

エゴノネコアシフシ

不思議なものを見つけました。エゴノネコアシフシ、エゴノネコアシアブラムシの虫こぶです。10数個の房室からなり各房室は長さ2cmの紡錘形です。最初は先端が閉じています。有翅虫の出現時に先端が小さく裂開します。

とても面白い生態をしています。エゴノキで越冬した卵が孵化し無翅の雌が出現します。エゴノキの芽を吸汁してその刺激でバナナの房のような虫こぶができます。その中で雌だけで無翅の雌が繁殖します(胎生単為生殖)。気温が高くなると有翅の雌が生まれ、7月にエゴノキから一年草のイネ科のアシボソやチヂミザサに移り葉裏にコロニーを作り胎生単為生殖をします。10月、有翅の雌が生まれ再びエゴノキに戻り今度は有性生殖が行われて樹皮に産卵されます。この虫こぶにはアリやシロアリがいて排泄物などを外に押し出してくれるお掃除屋さんです。

この木の下には沢山のケチヂミザサが見られました。

ケチヂミザサ

ケチヂミザサ

ヤマガラはエゴノキが大好き

ヤマガラは体長14cmほど、ちょっと頭でっかちの人懐っこい野鳥です。頭部は白と黒のツートンカラー、橙褐色の腹部、青灰色の翼と尾羽を持った鳥です。ヤマガラは昆虫を食べますが冬には堅い木の実を食べます。木の実の中でも大好物なのがエゴノキです。両足で上手に木の実を挟んで嘴で突いて毒のある果皮を取り除き、種子の胚乳を食べます。木の幹や樹皮の割れ目、土の中などに貯食します。

果実の中には エゴヒゲナガゾウムシ

メスはエゴノキの果実をかじって穴を開け産卵します。幼虫は果実の中で成長し、越冬します。チャノムシと呼ばれて釣り餌となります。

エゴヒゲナガゾウムシ♂

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