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マメ科~ハナズオウ(花蘇芳)

花は華やかな紅紫色、花の名の由来の高貴な蘇芳色で艶やかですが、たわわになった果実は綺麗、とはちょっと言い難いかな。

ハナズオウの特徴

マメ科ハナウズオウ属の落葉低木。中国原産で15~16世紀に渡来しました。学名「サーシス」は小刀の意味、鞘の形から。

茎 葉

ジグザグに曲がったハナズオウの枝

樹高2~4m。樹皮は灰色で小さな丸い皮目があり、株立ち。茎はジグザグに曲がります。単葉で長い葉柄があります。葉柄は3cm。葉柄の付け根、葉柄の上部が膨らんでいます。広楕円形から円形、基部はハート形、先が尖ります。全縁で掌状の葉脈があります。葉表は光沢があり、無毛です。葉身7cm、大きいものは径10cmになります。葉裏は淡緑色、葉脈基部に毛があります。互生。

広楕円形、掌状の葉脈を持つハナズオウの葉

ハナズオウの束状に紅紫色の蕾

花期は葉の展開前の4月。3月、蕾が付きました。古い枝、前年度枝に束状に紅紫色の花を付けます。花柄1cm、花径1cm、蝶形花です。長さ12mmの雌しべが1本、長さ10mmの雄しべは10本あります。萼は浅く5裂しています。

ハナズオウの紅色の蝶形花

果実

ハナズオウの長楕円形の豆果

5~7cmの扁平な長楕円形の豆果、緑色から濃褐色に変わります。

熟したハナズオウの果実

2月に熟すと裂開します。4mmの扁平な広楕円形で黒褐色の種子が2~8個入っています。どっさりとついた果実はかなり目立ちます。

蘇芳色

花の名は黒みを帯びた赤色の蘇芳色(すおういろ)に由来します。

染料に使う植物、「スオウ」はインドやマレー原産のマメ科ジャケツイバラ属の小高木です日本では育たず、ハナズオウとは同じマメ科ですが近縁ではありません。スオウの心材はブラジリンという赤色色素を含み、ミョウバンでは赤色、アルカリ水溶液では赤紫、鉄では黒っぽい紫に染まります。

ハナズオウの蘇芳色の花

かつて蘇芳色は貴族に重用された高貴な色でした。正倉院にスオウの心材が収められているそうです。江戸時代にはベニバナやムラサキの替わりに使われるようになって「偽赤」や「似紫」と呼ばれ一般的になりました。

種類

セイヨウハナズオウ
南ヨーロッパ、西南アジア原産、別名ユダの木

アメリカハナズオウ
北アメリカ原産の高木、株立ちせずに1本立ちし横に枝を伸ばす。花数が少なく小さい。寒さに強い。八重咲やシルバークラウト(斑入り種)やフォレストパンジー(紫色の葉)など葉が美しい園芸品種が多い。

シロバナハナズオウ
花色はやや小ぶりの白色、寒さにも暑さにも強い

育て方

日当たりの良いところを好みます。マメ科の特徴の根の根粒菌が空気中の窒素を取り込みますから肥料は少なめに。耐寒性も耐暑性もあり病気も少なく育てやすい落葉樹です。

増やし方
種蒔き、10月に種を採り陰干しをしてそのまま蒔く、もしくは3月に蒔きます。

選定方法
7月頃に花芽が付くことを考慮してその前に葉芽を残して整えます。強剪定は冬季に。

害虫
アメリカシロヒトリは年に2~3回発生し糸をはいて葉で巣を作り葉を食べます。見つけたら取り除きます。イラガは葉裏に並んで葉を食べます。幼虫の毛に接触するとかなりの痛みを伴いますから葉裏には注意が必要です。

イラガ

イラガの終齢幼虫

イラガの幼虫は太くて短くて黄緑色、背中に茶褐色の模様があります。イラガの繭はカルシウムを多く含み日本の昆虫が作る繭の中で最強。蓋を開けて羽化します。

イラガ繭

イラガ繭

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