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センリョウ科~ヒトリシズカ(一人静)

ヒトリシズカはこんな名前を持っています。

  • ヒトリシズカ(一人蘇)は清楚な姿を静御前になぞらえたもの
  • ヨシノシズカ(吉野静)は静御前が吉野山で舞った記録があり同じ由来から。
  • マユハケソウ(眉掃草)は花の形を化粧道具のはけに例えた名前です。

ヒトリシズカの特徴

ヒトリシズカ(一人静)の穂状花序

センリョウ科チャラン属の多年草。北海道から九州の林やその縁など、少し湿り気のあるところに群生しています。変わった花と変わった果実です。

茎 葉

ヒトリシズカ(一人静)

草丈10~30cm。茎は分岐せず直立し無毛、節には膜質の三角形の鱗片葉が対に付いています。最初赤紫色の茎は緑色に変化します。

ヒトリシズカ(一人静)の葉

葉も始め暗紫色を帯びていたものが、緑色に変化してきます。上部2節には大きな葉が対生に付き、節間が狭いため4枚の輪生のように見えます。葉柄は0.5~1.5cm、葉は幅3~7cm、長さ4~9cm、広楕円形で先は尖り、基部は狭くなっています。側脈は6~8対、鋭い鋸歯があり薄く艶があります。

葉に守られテイルズヒトリシズカ(一人静)の花

花期3~4月。茎の先に2~3cmの1本の穂状花序を出します。葉に包まれて花がのぞいています。萼も花弁もなく代わりに葉が蕾を守っています。

ヒトリシズカ(一人静)

小花は1本の雌しべと3本の雄しべからなります。1mmの緑色の丸い部分が子房で、花柱はなく短く白く見えるのが柱頭です。3~5mmの白い糸状のものが雄しべの花糸で基部が子房に合着しています。外側の2本の雄しべの基部に黄色い葯が下向きに付いています。(中央には葯はありません)花糸が訪問者を誘います。

果実

ヒトリシズカ(一人静)の果実、柱頭の先がキラキラ

子房の先の柱頭が白くキラキラしています。花序が伸びてきます。

1つの核をもったいびつな球形、ヒトリシズカ(一人静)の果実、

果実は淡緑色、1つの核をもったいびつな球形で2~3mm。黒い点は柱頭の跡です。

育て方

明るい日陰、湿りけのある落葉樹の下などが適しています。土壌も選びません。

増やし方

株分けと種蒔きで増やせます。株分けはあまり小さくしないように、株分けは株の更新にも役立ちます。種はいつの間にかこぼれてしまいます。確実に採るのならば覆いをした方がよいでしょう。乾燥させないように気を付けて6~8月頃に蒔きます。2年ほどで花を楽しめます。

病害虫

特にありません

チャラン属

センリョウ科は原始的な植物です。ヒトリシズカの他のチャラン属は

キビヒトリシズカ(吉備一人静)

草丈20~30cm。岡山県、九州北部に自生する。葉は互生、艶がない。花期は4~5月、葉の展開後でヒトリシズカよりやや遅い。花糸は咲き始めは薄緑色、白色に変化する。ヒトリシズカより花糸が1cmと長い。葯が基部中央に2個両外側に2個の計4個付ける。雌しべは開花時には苞に包まれている。根には強いレモンのような香りがある。環境省と岡山県双方で絶滅危惧種になっている。

フタリシズカ(二人静)

フタリシズカ

草丈30~60cmと一回り大きい。葉は楕円形で先端は尖り鋸歯が浅い。ヒトリシズカと違い艶がない。葉の展開後、5月に1~5本の花序を付ける。花弁はなく雄しべが3本、ヒトリシズカのような糸状ではなく白い広卵形の花糸が子房を巻くように包む。葯は中央に2個両側は1個ずつ付く。果実は倒卵形、熟すと濃緑色になる。

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