まだ寂しい庭に春を告げる代表的な花、不思議な花です。
フクジュソウの特徴
キンポウゲ科.フクジュソウ属の多年草で北海道から九州の山林の木漏れ日の当たる場所に生息します。江戸時代の名は「福告ぐ草」。旧暦の正月の頃に咲くことから別名ガンジツソウ(元日草)ツイタチソウ(朔日草)。江戸時代に盛んに品種改良された古典園芸植物です。早春植物(スプリング・エフェメラル)で、春の妖精とも呼ばれます。競合する植物の少ない時にいち早く顔を出し陽の光を浴びて花を咲かせ種を付けて初夏には休眠状態に入ります。アドニン、シマリン、アドニトキシンなどを含んでいて毒です。出始めにはフキノトウと混合しやすく、若葉の時にはヨモギと似ていて誤食の例があるそうです。
葉
草丈20~30cm。ゴボウのような黒褐色の根は民間薬などに使われていますが、毒性が高い部分です。上の写真は2月10日のフクジュソウです。葉は苞の中に畳まれて不思議な形になっています。葉は互生、3~4回羽状複葉、細かく分かれています。下の写真は花がそろそろ終わる頃の葉の様子、覆うように広がっていきます。6月には地上部が枯れます。
花
花期は2~4月。上の写真は2月中旬、最初は茎が伸びず茎を包んでいる大きな鱗片からチョコンと顔を出すように花を付けます。ごちゃごちゃした葉がマフラーのようです。筋の入った少し色の濃い花弁のような部分が萼です。
大きな鱗片が残り、その脇から花茎を伸ばしていきます。花径3~4cm、茎頂に1~4輪の花を付けます。鮮やかな黄色い花弁は多数、細かな縦線が入っています。
フクジュソウは蜜腺がありません。それでいて虫媒花です。ハエやハナアブヘのご褒美は暖かさです。花は太陽を追って顔を向けて光を集めます。陽の光がない時は花を閉じて熱の放出を防ぎます。
子房は淡緑色、雄しべと雌しべは多数、花糸、葯は黄色。白い花粉が沢山出ています。
果実
若い果実です。先の少し曲がった柱頭が付いています。単1雌しべの集合体で種子が薄い果皮を被ったそう果の集合果になります。
アリ散布植物
花柱の反対側にはエライオソームという付属物がが付いています。アリを引きつけアリは餌として巣に運び付属物だけ食べて種子を外に放り出します。結果的に種子を遠くへ運んでもらうことになります。巣の場所だけでなく途中でなくしてしまうこともあって結果的に目的達成ということもあるらしいですよ。
自然教育園では、路傍植物園、武蔵野植物園などで2~3月に見られます。