自然教育園 生き物 つる植物 毒のある植物 植物の構造

キョウチクトウ科~キジョラン(鬼女蘭)とアサギマダラ

空中を白い毛がゆっくりと真っ直ぐに落ちて地面に着地、慌てて見に行くとキジョランの種子でした。大きく広がった種髪がキラキラと輝いていました。

キジョラン

  • キョウチクトウ科(旧ガガイモ科)キジョラン属の常緑つる性植物
  • 在来種
  • 分布 本州(関東以西)、四国、九州の林内
  • 花期 8~9月
  • 有毒

キジョランのつる

しっかりと巻き付きます。

キジョランの葉

若い葉はこんな可愛いのですが・・

キジョランの葉

巻き付かれると大変、覆いつくされてしまいます。葉は対生、厚みがあり、表面は光沢があります。7~14cmの卵円形から円形、基部は心形、先端が尖ります。茎を傷つけると白い液が出ます。

キジョランの花

葉腋に、2~3cmの花茎の先に散形花序を付けます。

キジョランの花

9月29日・自然教育園

 

花色は黄色みを帯びた白色、花径は4~5mmと小さく、花冠は5裂した鐘形です。喉部には毛が密に生え、副花冠は5枚。萼は円頭、花茎と萼には毛が密に生えます。

果実

キジョランの果実

果実は袋果、花の大きさを考えるとびっくりするほど存在感たっぷりの果実です。果実は7~15cmと大きな紡錘形、最初は緑色、冬が来ると割れて種髪が爆発する様に溢れます。髪を振り乱すようなこの様子が鬼女蘭の名の由来です。

キジョランの種子

ふんわりと着地した種子。種髪の長さは25mmほど。沢山の種子が落ちていました。

キジョランの種子

キジョランの種子・12月21日・自然教育園

 

種子は1cm程、褐色で扁平な角張った卵形です。

キジョランの種子

アサギマダラ

キジョランはアサギマダラの幼虫の食草です。

浅葱斑

  • タテハチョウ科 マダラチョウ亜科
  • 分布 東南アジア、ヒマラヤ、中国、韓国、日本
  • 開帳 8~10cm
  • 出現 4~10月
  • 幼虫の食草 ガガイモ科のキジョラン、イケマ、カモメズル、サクラランなど
  • 成虫の食草 ヒヨドリバナ、フジバカマなどの蜜
  • キジョランなどの葉裏に産卵
  • 完全変態

アサギマダラ・フジバカマ

10月6日、アサギマダラが自然教育園のフジバカマにひらひらとやってきました。カメラマン多数が取り囲んでも吸蜜していました。熱帯の蝶に属するアサギマダラは暑さが苦手、見られるのも朝、夕方。この写真を撮ったのは15時40分頃です。
暗色の翅脈が入る半透明の淡青色の部分の色からアサギ(浅葱)の名が付きました。前翅の外縁は黒色、後翅の外縁は褐色、半透明の斑点が並びます。産卵は幼虫の食草の葉裏に、

幼虫

若齢虫は黒地に黄色の斑点が4列に、その周囲を白い斑点が並びます。

アサギマダラの若齢幼虫

アサギマダラの若齢幼虫・11月23日・キジョランの葉裏

 

アサギマダラの中齢幼虫

アサギマダラの中齢幼虫・12月19日・キジョランの葉裏・自然教育園

 

アサギマダラの中齢幼虫

アサギマダラの中齢幼虫・12月19日・キジョランの葉裏

 

アサギマダラの食痕・キジョランの葉裏

アサギマダラの食痕

 

キジョランの葉には丸く切り取られた跡が見られます。丸くなった食べ跡は「トレンチ行動」によるものです。食べられたくない葉は葉脈を通じて防御物質の液体を出します。まず円形に葉を傷つけてそれを遮断してから内側を食べていきます。トレンチとは溝やくぼみの意味です。

蛹はメタリック、黒色と黄色の紋がある青緑色で尾部で逆さづりになります。

幼虫の食草のガガイモ科の植物や成虫が吸蜜するフジバカマなどには強い毒性のあるアルカロイドを含み体内に毒を貯め鳥などから身を守ります。鮮やかな色をまとっているのは警戒色。またフジバカマに雄が集まるのはピロリジジンアルカロイドという性フェロモンを体内に入れるため、これを吸収できないと交尾ができないとか。

海を渡る蝶

季節的な移動をしているのではないかと1980年頃からマーキング調査が始まり調査が続けられているそうです。黒潮の上昇気流に乗って千キロ以上もの旅をすることが分かってきました。春から初夏にかけて台湾や南西諸島から本州に北上します。成虫の寿命は約4~5か月。次世代が今度は秋に南下します。

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