春ヤマモモの下で見つけた正体不明の草は夏には1mを超えました。花が咲いてようやくキク科センダングサ属の一年草、コセンダングサ(小栴檀草)とわかりました。
コセンダングサの特徴
「小」が付いていますが、センダングサより小さいというわけではありません。北アメリカ原産で江戸時代に帰化しました。温帯から熱帯に広く分布しています。
葉
薄緑色で柔らかく鋸歯がある葉が、下部は対生、上部は互生に付いています。
花
9月、蕾が付きました。分岐した先に1個ずつ直径1cmほどの頭花が付きます。舌状花はなく筒状花だけです。花冠の先は5つに浅く裂けています。総苞外片は7~10枚前後でばらばら、へら型で毛がたくさん生えています。
長さ5mm程の花筒からこげ茶色の集葯雄しべがにょきっと伸びてきて、花柱が花粉を押し出して松明のようです。
花筒から高くせり出した花柱は花粉を出し切るとYの字型に、その後もっと反り返って上の写真のようにM字型になります。先がくるくる、ハート形にも見えます。
果実
花が枯れてきました。子房の先に冠毛があります。果実から冠毛までは13~17mmです。果実の先には上向きの毛があります。冠毛は2~4本。先に下向きの返しの様な棘が出ています。
果実
果実が熟すと放射状に広がります。これがひっつき虫。厄介者です。
キク科は主に果実がふわふわ飛んで増えていきますが、コセンダングサはこのトゲトゲのひっつき虫が服や動物について移動します。逆さの棘が引っ掛かって取れないんですよね。花が終わったコセンダングサでダーツ遊びができますよ。また道端や空き地などのどんな狭い隙間にも生えてきます。花が咲く前に抜き取るのが一番。国立環境研究所の侵入生物データベースにコセンダングサがあり、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。
コセンダングサの仲間たち
コセンダングサ 舌状花はなし。冠毛2~4本
センダングサ 在来種。黄色い舌状花が5枚。冠毛3~4本。
シロバナセンダングサ(コシロノセンダングサ) 4から7枚の白い舌状花。冠毛2~4本
アイノコセンダングサ 舌状花はなし。筒状花の外側の一部が白い。冠毛2~4本
アメリカセンダングサ 舌状花はなし。総苞が葉状で四方に開く。冠毛2本
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キク科~アメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草)
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ひっつき虫
他にもひっつき虫は沢山あります。
- 表面にかぎ型の毛が密集
ヌスビトハギ ヤエムグラ - 表面に先端が曲がった棘が密集
オナモミ ヤブジラミ キンミズヒキ ハエドクソウ ダイコンソウ - 逆向きの棘がある
ササクサ センダングサ コセンダングサ ヒナタイノコヅチ - 表面に粘液毛を持つもの
メナモミ ノブキ チジミザサ ヤブタバコ - 花柱の先端がかぎ型に曲がる
ミズヒキ
オナモミは古くに帰化した植物ですが、オオオナモミやイガオナモミに取って代わられて、絶滅危惧種になりました。昔遊んだのはどれだったんでしょうか。
コクヨからひっつき虫という粘着剤が出ていて子供がポスターを張るのに使っていました。両面テープもひっつき虫からヒントを得たそうです。自然界は偉大です。粘着性のひっつき虫は一日干せば取りやすくなります。