サクランボの木から肩に当たってぼたりと落ちたのはモモスズメでした。
スズメガ科ウチスズメ亜科、朝見かけてから暗くなるまで、時折、翅が少し動く程度でずっと交尾したままの状態でした。上側の腹部が太い方が雌です。
モモスズメの特徴
幼虫
まだ若い幼虫です。頭部が尖っています。生まれたばかりの時からすでに尾骨が立派です。
体長7~8cmの芋虫です。頭部は縦長の三角形、長い刺状の尾骨があります。全体に細かい顆粒があります。頭部には横に1対、腹部には体節毎に斜めの7対の条班があり最後の条班が一番鮮明です。終齢に近づくとうっすらと桃色を帯びるようになります。
蛹化が近づくと地上に降りてきます。上の写真の幼虫は潜るところを探しているようでした。
蛹
体長4cmほど。黄緑色の体は茶褐色に変わります。
成虫
開張7~9cm。体色は褐色から暗褐色、前翅には波状の模様と1対の黒斑があります。外縁は波打ち内側には暗色の帯があります。後翅は暗桃色で2対の黒斑があります。成虫は口吻が退化していて食事をしません。
生態
卵は2~3mmの薄緑色の扁平な球状、卵塊を作らず飛翔しながら1個づつ食卓に産み付けられます。数週間で羽化します。
幼虫は6~10月に出現、バラ科やニシキギ科スイカズラ科のハコネウツギなどの葉を食べます。まゆを作らず地中で蛹化します。成虫は5~8月に出現。2回出現します。夜行性です。
寄生バチ
桃の収穫時にモモスズメサムライコマユバチに寄生されたモモスズメを見つけました。コマユバチ科サムライコマユバチ亜科の1~2mmのハチです。
卵を産み付けられると大量の蛆が皮膚を破って出てきます。糸を吐き出して6時間ほどでまゆを作りふわふわの毛で覆われてしまいます。1週間ほどで羽化するそうです。
翌日モモスズメの幼虫はアリにたかられていました。
サムライコマユバチの種類は産卵時に寄生主にウィルスを注入し寄生主の成長を抑え芋虫のままにするという戦略をとっているそうです。
モモスズメとクチバスズメ
その違いは
色・・モモスズメの方が色が濃く、前翅後縁が暗く帯状になるが、クチバスズメは薄褐色
前翅中央の3本の線・・モモスズメが後縁に向かって屈曲しながら間隔を狭めるのに対してクチスズメは屈曲せず緩やかに狭まる。
モモスズメが頭胸部に黒い帯の線が入り正中線ははっきりしない。クチバスズメは頭部から腹部までこげ茶色の線が入る。
ルリタテハもタテハサムライコマユバチに寄生されることがあります。
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