薬味に欠かせないミョウガですが、面白い植物です。食べている部分は6cmほどの花穂の部分で花ミョウガとも呼びます。古くから栽培されていたミョウガは日本人がいかにも好きそうな植物ですね。この色、香りに食感。繊維を断ち切るよう切れば香りを、繊維に沿って切ればシャキシャキを楽しめます。
ミョウガの特徴
ショウガ科ショウが属の多年草です。原産地は東アジア。
花穂
6月、花穂は地下茎から立ち上がってきます。花が咲くと味が落ちてしまいますが、咲かせてみました。花期は6月から10月。5cmほどの細卵形の苞が2列になって幾重にも重なっています。苞は光の量によって淡紫色から緑色で内側は柔らかく、中には沢山の蕾が入っています。
淡黄色の花冠は長く3裂し、中央部分は大きく舌状。側の部分は小さくなっています。雌しべと雄しべが各1本の両性花です。下の方の膨らんだところが雄しべで上に伸びた葯隔が花柱を包んでいます。
沢山の花粉が見えます。花は1日花で、次々と1つずつ咲いていきます。
花冠がしぼんできました。3裂した花の大きさの違いがよくわかります。
偽茎
葉鞘が重なりあって茎のように見える「偽茎」です。40~100cm。
葉
葉は幅3~6cm、長さ20~30cmの先が尖った披針形、互生で基部には短い柄があり、葉鞘が茎を抱きます。冬には地上部は枯れます。
種子
白い種皮に包まれた黒色い種子が、真っ赤な果皮に包まれているそうです。稀に夏から秋にかけて気温が高い時に結実することもあるそうですが、結実するのは見たことがありません。見てみたいものです。
地下茎
地下茎は淡黄色で、ここから間隔をあけて偽茎や花穂を出します。地下茎で無性繁殖します。繁殖力が強いので場所を決めて栽培しています。
混みあってくるので4~5年毎に植え替えします。時期は12~3月。3~4個の芽が付くように地下茎をカットし、10~20cm間隔、10cmの深さに植え付けます。地下茎はとても乾燥に弱いので注意が必要です。
茗荷の栽培
萌芽する前に箱などをかぶせ30cm程になるまで遮光して育てる「ミョウガタケ」は初夏の楽しみ。途中箱をずらして光を入れると紅色がきれいに出ます。ミョウガの収穫は晩夏~初秋にかけて、ふっくらとしたミョウガが採れました。
江戸時代の野菜栽培
江戸時代は園芸が発展した時代で、江戸近郊で野菜の栽培が盛んでした。
谷中ショウガ、亀戸大根、練馬大根、目黒の筍、滝野川ニンジン、千住のネギ、早稲田ミョウガ、などが有名です。早稲田から茗荷谷にかけてミョウガが栽培されていました。早稲田ミョウガは赤みが強く香りが高く大ぶりの秋ミョウガでしたが、栽培が途絶えていました。
新宿区のホームページによると、早稲田大学の学生チームが自生しているミョウガを発見し2011年から練馬区の農家で栽培されるようになり、普及が進んでいるとのことです。
日陰で湿潤な場所を好むミョウガは木の下などで栽培でき世話なしでありがたい野菜です。
同じショウガ科のハナミョウガです。
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ショウガ科~ハナミョウガ(花名荷)
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