縦横無尽に伸びた葉陰を覗いてみるとピカピカの赤い果実が出来ていました。
特徴
バラ科キイチゴ属の落葉低木。日本、東南アジア、オーストラリア大陸に分布する在来種で、日本全国の日当たりの良い場所に普通に見られます。田植えの時期に赤い実がみられるということで苗代苺の名が付きました。
葉
親株から匍匐性の地下茎を伸ばし子株を形成し独立して勢力を拡大していきます。茎は木質化し立ち上がらず縦横無尽に伸びて他の植物に覆いかぶさるように伸ばしていきます。茎枝には軟毛が密生し下向きの棘が生えています。葉は互生、3枚の奇数複葉、頂小葉は大きく3~5cmの菱型倒卵形で先端は丸く縁には重鋸歯があります。1年目の茎は葉が大型で5枚の小葉を付けることもあります。葉は明るい緑色で葉脈が凹みます。
葉裏は綿毛が密生し白く見えます。
葉柄の基部には線形の托葉が付きます。
花
花期は5~6月。短く枝を立ち上げ枝先や葉腋に紅紫色の花を上向きに付けます。花柄も萼も伏毛が密生し赤色の棘が見られます。
5~7mmの倒卵形の花弁は直立して開きません。萼は伏毛は密生し黄白色、5深裂し平開または反り返り下方に棘が付きます。多数の雌しべの周りに多数の雄しべが付き、花弁の間から柱頭が覗いています。
花弁が落ち葯が開きます。
雄しべが枯れてきました。受粉すると萼が閉じていきます。
果実
萼が閉じた若い果実と開いた果実。
果実は1.5cmの球形の集合果です。6~7月、萼はまた開いて、果実は赤く色付きます。果実は7~9mm、甘酸っぱく食用になります。
果実が落ちそうです。果実の中には2~3mmの網目状の凹凸のある核があります。
果実の落ちた花床です。