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トウダイグサ科~ノウルシ(野漆)

周りの光がここに集まっていると思えるほど黄色く輝いています。

ノウルシの特長

トウダイグサ科トウダイグサ属の多年草です。北海道から九州まで明るく湿ったところに生息しています。河原などの生息地の減少から数を減らし準絶滅危惧種以上の指定を受けている都道府県が多くあります。茎葉を傷つけると乳白色の液が出ることからウルシ(漆)の名が付いていますがウルシはウルシ科で含まれている成分はウルシオール、ノウルシはユーフォルビンを含みます。皮膚炎、かぶれ、嘔吐、下痢などを起こします。

ノウルシ

草丈30~50cm。根茎は太く先端を2分岐を繰り返し長く地下茎を伸ばします。2月頃先端から赤い新芽を出します。茎の断面は円く平滑上部に長い白毛があります。葉は幅6~7mm、長さ4~9cmの披針形、全縁、螺旋状に互生、主脈が白く目立ちます。

茎先に輪生した5葉を出します。その葉腋から5本の散形枝を出し杯状に3枚の総苞片を出します。

ノウルシの杯状花序

花期は3~4月。各総苞片の腋からさらに2枚の黄色い苞葉を出し杯状花序を形成します。ノウルシには萼も花弁もありません。

ノウルシ

苞葉の裏には毛が見えます。5枚の総苞片は合着し杯状になっています。まず5個の腺体が現れました。黄色から橙い色の楕円形で蜜を出します。

ノウルシ

中央の花は不稔性(結実しない)の花で腺体と雄しべからなり雌しべがない花です。葉腋から出す散形枝の中央にも不稔性の花が付きます。

ノウルシ

杯状総苞片の上に5個の腺体、その上には雄しべ1本からなる雄花が数個、雄花の中央には柄を持った淡黄色の1本の雌しべからなる雌花があります。雄花の花糸は2本が合着し、葯は2つに分かれています。子房の外側にはいぼ状突起があり、柱頭は3裂しさらに花頭が2裂します。

果実

ノウルシの果実

チョウジソウの背が高くなってノウルシはすっかり隠れてしまいました。覗いてみると苞葉が緑色に変わり、子房が立ち上がっています。子房外側のいぼ状突起は果実になっても残っています。果実は3室からなり1室に1種子が入った蒴果です。果実は6mm、熟すと茶褐色になり脱落します。種子は3mmrの球形、結実率は低いようです。果実が落下いた後紅葉することもあり、地上部は枯れます。

ノウルシにシリブトヒメヒラタアブ

ノウルシにシリブトヒメヒラタアブ

自然教育園の水生植物園の一画が3月後半に黄色く染まります。そしていつの間にか黄色い華やぎが消えて他の植物に覆われてしまいます。

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