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ツバキ科~チャノキ(カメリア・シネンシス)とお茶の歴史

春の葉の緑は明るく艶々で殊に美しく、秋に葉陰で下を向いて咲く花は静かな佇まい、わずかに香ります。

チャノキの特徴

本州から沖縄に分布するツバキ科ツバキ属の常緑低木です。学名カメリア・シネンシス。野生化したチャノキが公園や里山に見られます。

チャノキの花

茎・葉

チャノキの新葉

樹高1~4m。幹は株立ち、樹皮は灰褐色で平滑。耐寒性も耐暑性もあり庭木や生垣に植えられることも多く自然樹形よりかまぼこ型に整えられることが多いようです。葉は葉は互生、楕円形で基部は楔形、縁には波状の細かな鋸歯があります。葉脈が凹み、脈間が膨らみます。側脈は葉縁まで届きません。革質で表面には光沢があります。

チャノキ

室町時代に茶の葉の煎じ汁が染料として使われるようになりこれが茶色の名になりました。

チャノキの花

花期は10~12月。葉腋に2~3cmの白い花を下向きに付けます。花柄は1~1.5cmで湾曲しています。

チャノキの花

萼は緑色で5~6枚、内側が大きくなります。

チャノキの花

白色の花弁は5~7枚、円形で縁がひだ状になります。雄しべは多数、花糸は白色、葯は黄色。花柱の先端は3裂します。花を観賞される為の品種改良もされています。

果実

チャノキの若い果実

若い果実です。蒴果で1.5~2cmの球形浅い溝が3本。熟すと3裂し1室に1~2個の種子が入ります。種子は褐色、片面が平らです。

チャノキの果実

お茶の種類

チャノキにはインド種と中国種があり、
アッサム種・・樹高8~15m、葉は長さ10~18cm、先端が尖り肉厚、カテキンが多くアミノ酸が少なく紅茶に向く
中国種・・樹高1~4m、葉は長さ5~9cm、丸みを帯び薄い、カテキンが少なく、アミノ酸が多く緑茶に向く
19世紀にイギリスの探検家によってアサッム種の自生樹が見つかり中国種との交配が進みインドやスリランカでお茶の栽培が広がりました。

日本のお茶の歴史

中国では紀元前からお茶の歴史が始まります。日本に渡来する前にすでにお茶のバイブル「茶経」か記されています。
日本には平安時代に中国から遣唐使や僧によって種子が持ち込まれました。当時は団茶(蒸してすりつぶして固形状にして乾燥させたものを炙って粉にし湯で煮る)で飲まれていました。薬として一部の限られた人が口にすることができるものでした。その後はすたれてしまいました。
再び歴史に現れたのが鎌倉時代、将軍源頼家が寺域を寄進した建仁寺の開祖、栄西が中国から種子を持ち帰りました。栄西は「茶は養生の仙薬なり」で始まるお茶の専門書「喫茶養生記」を記しています。京都栂尾の華厳宗高山寺を中興した明恵が栄西から茶の薬効を勧められ、栽培を始めたのが日本最古の茶園とされています。栂尾の茶の栽培が盛んで「本茶」と呼ばれ 他とは区別されていました。南北朝時代には他にも栽培が広がって寺院を中心として喫茶の習慣が広がり、やがて武士階級にも社交の道具として広がりました。この時代には甜茶や挽茶という抹茶のような飲み方になりました。
安土桃山時代、オランダに「ヤパンの飲み物」として茶の湯が紹介されています。
江戸時代には武士のだけでなく一部の庶民にも茶の文化が広まりました。煎茶の祖と呼ばれる永谷宋円によって新しい製法が編み出されそれまでの茶色いお茶ではなく美しい緑色の水色が出るようになりました。また山本山の6代目山本嘉兵衛によって玉露が作られました。
そして有難いことに今では誰でもお茶を楽しめるようになりました。

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