赤い糸状のキラキラした雌しべがびっしりついた花序が風に揺れて目立ちます。傍らにまだできたての白っぽい団扇のような果実が透明感のある赤い果柄にぶら下がってゆらゆら。一緒に楽しめます。
スイバの特徴
北海道から九州まで、北半球の温帯地方の日当たりの良い荒れ地や畔に自生する在来種でタデ科ギシギシ属の多年草です。スイバはシュウ酸を含み酸っぱいことから「酸い葉」の名が付きました。スカンポ、スカンボ、その他沢山の名で呼ばれています。
茎・葉
草丈は30~100cm。根は黄色。茎は円柱形で太く直立し縦に稜線があり赤みを帯びます。
葉の基部には鞘状になった托葉があり縁が不規則に切れ込みます
根生葉は長い葉柄があり長さ10cmほどの長楕円形で基部は矢じり型。鈍頭、この状態で越冬します。
茎葉は互生、葉柄がなく茎を抱きます。
花
花期は5~6月。雌雄異株で、上部が分岐して円錐花序を出し3mmの小さな花を沢山つけます。花弁はありません。
雌花は3枚の外花被片と柱頭に隠れるようにある小さな3枚の内花被片があります。花柱は3本、柱頭は多数の赤い縮れた糸状になりキラキラして全体が赤く染まります。雄花は淡黄色、花被片は6枚、雄しべは6本、風媒花で花粉を風に乗せて飛ばします。
果実
花後、4mmの団扇のような円形の果実を多数つけます。果実は3枚の内花被片が大きくなり果実を包んだものです。外花被片は上部に反り返り団扇の柄のように見えます。
痩果は黒褐色で長さ2mmほど、先端が尖った楕円形で光沢があります。
野菜で薬
ただの雑草ではなく、沢山の名前を持つ身近な植物、山菜、野菜であり薬だったのです。
春先の若葉は山菜として茹でてみずに晒してお浸し、和え物、煮物に、茹でてつぶしたものに砂糖を加えてジャムに。
若い茎はそのまま、シュウ酸を含むのでおなかを壊すので食べ過ぎに注意!
ヨーロッパではソトルと呼ばれスープの実やサラダ、つけ合わせやソースに酸味がアクセントになります。
ハーブティーは殺菌作用、解熱作用がありうがい薬に
果実を煮込んで冷ましシップとして火傷薬に。
開花前の根茎を干して乾燥させたものが「酸模と」呼ばれる生薬で便秘薬、利尿剤に。
根茎を摺り下ろして患部に塗布して皮膚病の治療薬になど。皮膚の弱い人には刺激が強すぎる。
近年、制癌の効果が期待されているそうです。
ギシギシ
スイバがギシギシと呼ぶ地方もあるそうですが
スイバは雌雄異株、ギシギシは雌雄同株。スイバの果実の中央は膨らみませんがギシギシは膨らみます。
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タデ科~ギシギシ(羊蹄)
存在感たっぷりに背を伸ばす畑の厄介者、果実は面白い形ですね。 ギシギシの特徴 タデ科スイバ属の多年草です。北海道から沖縄まで、道端や畔などやや湿った場所でよく見る在来種です。 葉 草丈60~100cm ...
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