クチナシは庭木の定番、厚みがある花弁は白さが際立ち、艶のある葉とのコントラストが魅力的です。甘い香りがしてジンチョウゲ(沈丁花)、キンモクセイ(金木犀)とともに三大香木に数えられています。赤い果実もなかなかユニークです。
クチナシの特徴
アカネ科クチナシ属の常緑低木です。原産地は日本、中国、台湾、インドネシア、温帯や亜熱帯地方に自生します。山梔子、梔子、口無し、英名はケープジャスミン、属名ガーデニアはアメリカの植物学者ガーデンの名によります。
葉
樹高1~2m。枝は平滑で緑色から灰緑色。葉は対生で長さ5~12cm、全縁の長楕円形で先が尖り光沢があります。4片の托葉が筒状になり茎を包み片側が深く裂けています。
花
花期は6~7月。葉腋から短い花柄を出し白い花を付けます。萼片は広線形で6枚(5~7枚)、花は基部が筒型、肉厚の花弁は螺旋状に重なっています。薄黄緑色の筋が色が段々薄くなっていきます。
雄しべは6本(5~7本)淡褐色、開花前に花粉を出して花柱に付着します。
花弁は平開します。2裂した3~4cmの棍棒状の花柱に花粉がびっしりとついています。
花弁が8枚の花がありました。花粉を出し終えると雄しべは萎れて花弁の内にしなだれかかります。花色が輝くような白から黄色に変化していきます。
花の香りにはリラックス効果があります。江戸時代には疲労回復に食べられていたとか、中国ではお茶の香りづけに使われていました。
果実
10~11月赤黄色に熟します。2.5~3cmの倒卵形、側面には6(5~7)個のはっきりした稜があり上部には針状の萼片が残ります。熟しても裂開せず、このことがクチナシ(口無し)の名の由来という説もあります。果実は萼筒が肥大したもので偽果です。2室に分かれ、3mmほどの扁平な楕円形の茶褐色の種が黄色い果肉に包まれて沢山入っています。
果実の効能
漢方 山梔子(さんしし)の名の生薬。効能は消炎、止血、鎮痛、利尿作用、不眠症。
染料 黄色の染料
着色料 干した果実を煎じた黄色い液を使って食品の着色に。
打ち身に 民間療法で粉末にして小麦粉とこね合わせて外用に
色だし方法
黄色い色素は水溶性のクロシン、半分につぶして水で煮出して作ります。15分ほど煮出して1個で500ccほどとれます。栗きんとんやサツマイモは袋などに入れて一緒に煮ます。
品種
コクチナシ(ヒメクチナシ)中国南部原産、樹高30cmほど、葉が細く花も小さい。八重咲もある
ヤエクチナシ 八重咲品種、葉も花も大きく庭木としてよく植えられる。結実しにくい。
フクリンクチナシ 葉に白い覆輪がある
フイリクチナシ 葉に黄斑がある
マルバクチナシ 葉が倒卵形で小さく先端が円い
育て方
西日が当たらない半日陰で育てます。暖地では戸外で冬越し出来ます。花芽は花後に伸びた枝に付くので剪定は花後すぐ、樹形が整いやすい木なので大きな剪定は必要ありません。ひこばえや枯れた枝、込み合った枝、花芽の付きにくい古い枝を切り落とします。食欲旺盛なオオスカシバの幼虫が付くと葉を丸裸にしてしまいます。挿し木や株分けで増やせます。挿し木は6~7月、2か月ほどで発根します。株分けは3~4月に行います。
オオスカシバ
出現期は6~10月。鴬色の太い胴体に腹端に黒い毛束があり腹部ははっきりとした白色です。透明な翅、シャープな触角、灰色に黒い紋のある複眼を持っています。開帳5~7cm。直線的に飛びホバリングが得意です。翅が綺麗に撮れなくてがっかりです。幼虫は緑色と褐色がいて緑色の幼虫の背面は青白色です。胴部には細かな横じわがあり胸脚は基部が黒色、先が赤褐色、両端に小白紋があるオレンジ色の気門があります。長さ6cmの大きな芋虫です。
オオカマキリの卵鞘
オオカマキリの卵鞘を見つけました。4cmほど、中には200~300個の卵が入っていてこれで冬を越します。通気性と断熱性を兼ね備えていて衝撃からも守ってくれます。