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キジカクシ科~アマドコロとナルコユリ・ハバチ科~ヒゲナガクロハバチ

木の下で下向に明かりと灯したような白いこの花をずっとナルコユリだと思っていましたが、アマドコロ(甘野老)でした。お花屋さんではナルコランと呼ばれているそうで、それで混同したのかもしれません。

アマドコロ

灯をともしたようなアマドコロの筒状花

  • キジカクシ科アマドコロ属の多年草
  • 分布 北海道から九州の草原や林縁に自生 ヨーロッパや東アジアに分布
  • 在来種
  • 草丈 35~85cm
  • 花期 4~5月
  • 名の由来 根茎がよく似る苦ーいオニドコロと違って食べられるから
  • 別名 キツネノチョウチン、チョウチンバナ、アマナ

茎・葉

アマドコロの稜のある茎

地下茎には結節がなくが横に伸びて先端に花茎を立てます。茎の下部は直立、途中から斜上し上部には5~6陵があります。

アマドコロの出てきたばかりの葉

出てきたばかりの葉

葉は柄はなく互生、長さ8~16cmの長楕円形で先端が尖ります。無毛で裏面は緑白色、斑入りの品種もあります。

アマドコロの葉柄はなく長楕円形の葉

根、若い芽は山菜として利用されます。

アマドコロの2個づつ並んだ筒状花

花柄は葉腋から出てアーチを描いて下がり1~2個づつ並んで筒状花を付けます。花径17~19mm、花柄と花のつなぎ目がなめらかです。花は筒状に合着して6裂した先端に毛があります。雄しべは6本、花糸の途中まで花筒と合着しています。

アマドコロの先端に毛がある筒状花

果実

果実は1cmの球形の液果、黒色で中に4mmの茶褐色の種が4個入っています。

ナルコユリ

  • キジカクシ科アマドコロ属の多年草
  • 分布 北海道、本州、四国、九州の林内や林縁
  • 在来種
  • 草丈 50~80cm
  • 花期 5~6月
  • 名の由来 花や実が並ぶ様が、鳥を追い払う鳴子に似ることから
  • 別名 ナルコラン ヤマドコロ チョウチンバナ

ナルコユリの葉

地下茎は横に這い太く時に塊状になります。茎は円柱状で稜はなく、長さ40~140cm、アーチ状に垂れ下がります。葉は互生、長さ5~18cmの披針形で垂れ下がって付き、全縁、葉裏は白色を帯びます。葉裏には突起があり、ざらつきます。

ナルコユリの花

葉腋に細い3~5に分岐した花柄を付け、緑白色の筒状の花を付けます。

ナルコラン

花の基部には短い柄があります。2cm前後の筒型の合着した花は、先端が浅く6裂して緑色を帯びます。

ナルコラン

雄しべは6本、花糸の途中まで花筒と合着しています。柱頭は頭状。

果実

7~10mmの球形の液果で熟すと暗紫色になります。

アマドコロとナルコユリの違い

アマドコロ  ナルコユリ
 陵がある つるつる
 幅が広い  細長い
花期 4~5月 5~6月
花柄と花のつなぎ目  なめらか  突起状になる
根茎  結節がない 1年に一個の結節を作る

ヒゲナガクロハバチ

アマドコロの葉は悲惨なことになっています。真っ黒な芋虫が並んで葉を食べまくっています。正体はヒゲナガクロハバチの幼虫でアマドコロやナルコユリなどのキジカクシ科の植物を食草としています。

ヒゲナガクロハバチの成虫

北海道から九州の分布するハバチ科ヒゲナガクロハバチ亜科の全身真っ黒な1cmほどのハバチです。出現は5~9月。茎に皮を剥ぐように産卵管を差し込んでピンク色の卵を産み付け、少し位置をずらしながら産卵をします。数日後、頭部が薄茶色でピンク色が透けて見えるの透明な初齢幼虫が孵化します。

ヒゲナガクロハバチの幼虫

撮影日 5月21日

頭部が黒色の灰色の中齢幼虫と真っ黒で胸部に突起のある終齢幼虫が一緒に。

ヒゲナガクロハバチの終齢幼虫

撮影日5月21日

ホウチャクソウ

イヌサフラン科のホウチャクソウもよく似た花を付けます。

イヌサフラン科のホウチャクソウの花

イヌサフラン科~ホウチャクソウ(宝鐸草)

薄暗い場所に緑色を帯びた白い花を下向きにつける姿は静かで力強さを感じます。 ホウチャクソウの特徴 イヌサフラン科(以前はユリ科)チゴユリ属の多年草です。日本全国の雑木林の開けた場所に分布します。名の由 ...

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