いつも通る道端で見つけたピンク色の優しい可愛い花、アザミとよく似た花ですが、アザミと異なり葉は柔らかく刺はありません。アザミと思ったら、騙されちゃった、ということで付いた名前です。
キツネアザミ
キク科キツネアザミ属(1属1種)の一年草または越年草。
分布 本州から沖縄、中国、台湾、東南アジア、オーストラリア
在来種 古い時代の帰化植物(農耕と共に中国から渡来)
草丈 20~150cm
花期 5~6月
別名 キツネノマユハケ マユハケアザミ
葉
秋に芽生えてロゼット状で冬を越し、春に茎を立ち上げます。茎には畝があり直立し上部で分岐しています。葉は柔らかく表面は緑色で無毛、裏面は白い綿毛が密生しています。根生葉は花期には枯れます。中、下部の葉は葉柄があり長楕円形で羽状に深裂し、頂裂片は菱形、三角状で他より大きくなっています。
上部の葉は無柄で狭楕円形でだんだん小さくなります。葉縁は歯状または全縁です。若い芽や葉は茹でて晒してあくを抜いて食用にされます。
花
花径2cmのピンク色の筒状花を上向きに多数単生します。
外総苞片は三角状卵形、中総苞片は卵状楕円形、内総苞片は線状楕円形で8列に並びます。外総苞片と中総苞片は紫赤色の鶏冠状の突起が目立ちます。淡紫紅色の花冠は5裂し細く12~15mm、雄しべは合着し濃紫色の筒状、柱頭は2裂します。
受粉の仕組み
昆虫が花に触れると、雄しべの下部の白い糸を刺激して縮むことで筒状になった集葯雄しべが押し下げられて花粉が押し出されてきます。雄しべから突き出しているのが淡紅色の雌しべです。雌しべの下部には上向きの集粉毛が密生していて花粉が下部に落ちるのを防いでいて花粉を押し出します。花粉はべとべとしていて昆虫の体について運ばれます。昆虫が来る時だけ花粉を出して大切な花粉を無駄にしません。雄しべが花粉が出し終わったら、雌しべは先端が2裂して昆虫によって運ばれる他の花の花粉を待ちます。
果実
熟すと総苞が開きもわっと冠毛が飛び出します。果実は褐色、薄く硬い果皮が種子を包む痩果で2.5mmの長楕円形、側面に15本の稜があり、長さ1.8cmの冠毛は幅3cmに広がります。冠毛は羽毛状になっています。少し触っただけでふわふわ飛んでいきました。