野草 雑草 植物の構造

イネ科~コバンソウ(小判草)とヒメコバンソウ(姫小判草)

コバンソウは細い茎が首を垂れて小穂が重なり合うようにぶら下がって風にゆらゆら、地味ながら印象的な植物です。ヒメコバンソウは沢山のお結び型の小さな花が散らばっています。

コバンソウ

コバンソウ

イネ科コバンソウ属の多年草
分布 日本全国の砂地や荒地
地中海沿岸原産 明治時代に観賞用として渡来
草丈 30~60cm
花期 5~9月
属名 ブリザはギリシャ語でライ麦のこと
別名 タワラムギ(俵麦)ー俵に似ていることから、ゴウダソウ(合田草)ー合田教授が種子を持ち帰ったことから

コバンソウ

早春柔らかい緑色葉を出します。茎の基部ではやや匍匐してから直立、叢生します。茎や葉の基部の葉鞘は赤褐色になります。葉舌は膜質、葉は互生で無毛、幅5~10mm、長さ10~10cmの線形披針形で縁がざらつきます。

コバンソウ

糸のような小茎の先端に数個から10個ほどの円錐花序が垂れ下がります。両性花で風媒花です。上の写真の小穂はまだ先が尖っています。黄色い雄しべが顔を覗かせています。小穂は幅10~12mm、長さ15~20mmの厚みのある長卵形です。

コバンソウ

花弁は退化して突起状の鱗片になって重なり合っています。下部1対は苞が変化した苞穎で濃く色づいています。長さ6~8mmの護穎には短毛が密生します。綺麗な薄緑色から小判にふさわしい黄金色に変わりやがて黄褐色に変わります。

コバンソウ

イネ科の花らしく小穂の間から先が2裂した白いモールのような花柱と3個の葯が出ています。

コバンソウ

果実

からからに乾いてきました。頴果の中には2.5mmの倒卵形の褐色の種が入っていて風が吹くと剥がれて風、雨、動物、人によって散布されます。

ヒメコバンソウ

ヒメコバンソウ

イネ科コバンソウ属の一年草
分布 本州から沖縄までの路傍や原野 世界の温帯や熱帯に広く分布
ヨーロッパ原産の帰化植物 江戸時代に渡来
草丈 20~40cm
花期 5~6月
別名 スズガヤ(鈴萱)ー小穂がカラカラと音を立てることから

ヒメコバンソウ

茎は叢生し根元がやや匍匐し直立します。葉は線状披針形で長さ6~14cm、無毛で縁がざらつきます。葉舌が長く葉鞘から緩やかに移行しています。

ヒメコバンソウ

5~15cmの円錐状の花序に細い茎が下垂し4mmほどの3角状卵形の小穂を沢山つけます。小穂は淡緑色の3~6個の小花からなり縁は透明な膜状です。

よく似た植物

ニセコバンソウ

中央アジア原産のイネ科スズメノチャヒキ属の多年草。英名ワイルドオージ、西洋コバンソウ、宿根コバンソウともいわれます。花期7~8月。葉はコバンソウより幅が広く細い茎で平べったいうろこ状に穎が並んだ小穂が垂れ下がります。夏から秋にかけて赤くなります。

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