葉鞘に包まれた花序、セリ科では珍しい濃紫色の花、開く前の内側に折りたたまれた様子、雄性期と雌性期の花、そして果実、変化が楽しめる植物です。
ノダケの特徴
- セリ科シシウド属の多年草
- 分布 本州、四国、九州 朝鮮、中国、インドネシアの山野
- 在来種
- 草丈 80~150cm
- 花期 9~11月
- 別名 ゼンコ(前胡)ー生薬の名前
葉
ごぼうのような根は香気があります。茎は暗紫色、直立して上部でわずかに分岐します。葉は互生、葉柄の基部は袋状に膨らみます。
幼葉です。根生葉や下部の葉は3出羽状複葉で小葉には葉柄はなく長卵形、縁に鋸歯があります。葉裏は白色。
花序の基部は葉が退化し袋状の鞘になり、蕾はこの中に、まるで帽子をかぶったようです。
花
分岐した先端に4~10cmの複散花序を付けます。基部には鞘が残ります。花弁も雄しべも内曲しています。雄性先熟です。
花序の柄は同長で花序は丸くになります。雄性期は花弁は5枚、暗紫色(まれに白色、緑白色)で花径3mmほど、雄しべは5本、花糸は暗紫色または白色、葯は白色、花弁から長く伸びています。上の写真の手前の方は雄性期が終わり花弁も雄しべも落ち短い雌しべが見えています。
雌性期の花です。萼片はなく子房が萼筒に包まれています。濃紫色(白色)の2本の花柱が伸びています。
果実
子房が大きくなってきた若い果実です。
花柱が残っています。背面には3本の肋があります。肋の間に油管があり精油が蓄えられ香気があります。
果実は4~6mm、扁平な広楕円形で広い翼があります。
キアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫はセリ科が大好きです。葉だけでなく花序や若い果実も食べます。沢山の4齢幼虫、終齢幼虫を見かけました。
4齢幼虫は白地に黄色と黒の縞模様。
終齢幼虫になると黄緑と黒色の縞模様になり黒色の縞模様の部分に橙色の斑点がはいります。
キアゲハの一生
葉表に1個産卵します。卵は白色から色が変わっていき黒色になると孵化が始まります。鳥のフンのような状態から3齢幼虫になると白いラインが目立ってきます。キアゲハの幼虫は脱皮殻を食べる習性があります。天敵に居場所を知られないようにするためのようです。4齢幼虫は白、黄、黒の警戒色になり、終齢幼虫は緑色を帯びてきます。羽を広げられる安全な場所を探して移動します。糸を出して固定して前蛹の状態に、上の方から白く変化して盛んに体を動かして上の方から脱皮して周囲に同化して緑色の蛹になります。この時の脱皮殻は下に落とします。10日前後で黒っぽく透けてくると羽化が始まります。腹側は上下に背中側は左右に割れて触角と前脚を出し数分をかけて外に出ます。体液を流し込んで翅を伸ばしじっと乾くのを待ち4時間余りで飛び立ちます。4~6cm。成虫の発生は4~10月、成虫は年に2~4回発生します。蛹で越冬します。