ロウバイの花弁は青空を背景にすると輪郭さえ頼りなげで溶けてしまいそうです。蝋のような光沢と質感からロウバイ(蝋梅、蠟梅)、古名はカラウメ(唐梅)江戸時代初期に渡来しました。蠟梅は梅、水仙、椿とともに中国の「雪中の四花」とよばれます。
ロウバイの特徴
クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属、中国原産の2~4mになる落葉低木です。園芸種のソシンロウバイ(素心蝋梅)がよく栽培されています。花や蕾から抽出した蝋梅油は抗菌抗炎症作用がある生薬です。種にはアルカロイドのカリカンチンを含みます。有毒です。
葉
3月末、花が終わった枝先にキラキラした若い葉が出てきました。葉は対生、葉表はざらざらとしています。長さ8~15cmと大きく先が尖り全縁です。花が終わって葉が大きくなってくると雰囲気ががらりと変わります。
花
12月の蕾です。1月~3月、短い枝先に直径2cmほどの5~10個の花を下向きに付けます。
萼と花弁の区別がつかず、合わせて花被片とよびます。内側が小さく外側が大きい15~20枚の花被片が螺旋状に並びます。原始的な植物の特徴です。
ロウバイは雌性先熟です。上の写真は雌性期の花で他の花の花粉を受け入れています。この個体は6本の雄しべが開いています。雄しべの葯は外側にあり花粉がまだ出ていません。雌しべは5~30本、花被筒の内側に付き、細長い子房から長い花柱を伸ばしています。柱頭には粘着性があり束になっています。長い毛が生えた仮雄しべが雄しべの内側に雌しべを取り囲んでいます。
数日を経て雄性期に入りました。花被片の一部が取れていて中が見えました。5本の雄しべが閉じて花柱に密着しました。葯は縦に割れて花粉が出ています。
果実
花床が大きくなって果実ができています。先に雄しべが残っています。
5月初旬、果実がずいぶん存在感を増してきました。
花期の頃の雰囲気とがらりと変わります。晩秋になり果実は長さ3cmの楕円形、暗褐色になり面白い皺があります。長さ1cm、楕円形のそう果が5~20個ほど入っています。
育て方
日向から半日陰がよく、耐暑性、耐寒性があります。
剪定
勢いのあるひこばえが沢山出て樹形を乱し樹勢を弱らせるので整理します。徒長枝にはつかないので切り詰めて枝数を増やします。枝の基部に出る短い枝に花芽が付きます。花後に5芽残して切り詰めると、翌年伸びた枝に花芽が付きます。古い枝は落として5年ごとに更新していきます。からみ枝や内側に向いた枝などは落とします。
増やし方
園芸品種は接ぎ木で作るそうですが、種まきが簡単で、変化も楽しめそうです。
品種
ロウバイ(蝋梅)
中央部が暗紫色、花弁が細長い
ソシンロウバイ(素心蝋梅)
黄色の単色、花弁が丸い、香りが強い。素心とは単色の意味です。
マンゲツロウバイ(満月蝋梅)
ソシンロウバイの実生から選別された12月に開花する早咲き品種。香りが強い。
ソシンより大輪で花弁が丸く黄色の色が濃い。中央が赤紫色のものもある。
トウロウバイ(唐蝋梅)
大輪、香りが弱い。
秩父長瀞、宝登山のロープーウエイの山頂駅からみた秩父連山の眺望と3000本のロウバイを思い出しました。