日当たりの良い場所にべたっと張り付いています。葉がぽってりっとしてリズミカル、黄色い花は太陽を集めているみたい。
スベリヒユの特徴
スベリヒユ科スベリヒユ属の1年草、世界の熱帯から温帯地方、日本も全土でみられます。史前帰化植物です。
茎 葉
茎は赤紫色で長さ20cmほど、基部から良く分岐して地を這って、時に立ち上がって広がっていきます。無毛です。
葉は深い緑色で多肉質で厚みがあり幅5~15mm、高さ15~25mm。へら状、基部はくさび形で先端がやや凹み、光沢があり互生に付きます。
花
花期は7~9月。先端の葉腋に黄色い6~8mmの花を付けます。萼は緑色で2枚、花弁は5枚、基部でわずかに合着して先端は軍配のように中央が凹んでいます。雄しべは7~12本、葯は黄色です。雌しべは1本、柱頭は4~6裂します。花は日が当たると開きます。
果実
果実は幅3~8mm、長さ5~7mm、下部は萼筒が合着し上部は萼に包まれています。熟すと上部が蓋のように取れる蓋果(がいか)です。中には1mmほどの細かな突起のある黒い種子がたくさん入っています。
CAM植物
スベリヒユはCAM植物です。CAM植物とは、乾燥地帯の多肉植物や着生植物(木や岩に根を下ろす植物)など日常的に水分が不足し昼夜の気温差が大きい場所に適応した光合成を行う植物のことです。通常光合成には光、水、ℂО₂が必要です。光のある昼間にCO₂を取り込む為に気孔を開くと水分が失われます。そこで夜間に気孔を開いてCO₂を取り込むことで水分の蒸発を防いでいます。取り込んだCO₂はリンゴ酸などの有機物に形を変えて液胞に蓄え、光合成を行うときに還元されます。ベンケイソウ科、トウダイグサ科、サボテン科、キク科などの多肉質の葉を持つ一部の植物がこの光合成を行います。
スベリヒユの利用法
漢方では全草を馬歯莧という生薬として解熱、解毒などに利用されています。
また健康食品や山菜としても利用されています。栄養豊富で生でサラダにしたり、茹でたり灰汁をさらしたり炒めたりといろいろな方法で食べられているようです。茹でるとぬめりがあるのは液胞に蓄えられたリンゴ酸の作用で和名の「滑莧」の莧はこのことに由来します。味については好みが分かれるようです。山形ではひょうと呼ばれ、熱湯でさっと湯がいたものを干したひょう干しは、冬の間の貴重な食糧として、正月の縁起物の料理に使われるそうです。食用として売られている「タチスベリヒユ」という葉の大きな高茎性の品種があるそうです。これを食べてみたいな。