華やかではありませんが、沢山の白い細い花弁がカールしてピンク色の葯筒がつんつん伸びてポップな可愛い花です。
コウヤボウキの特徴
関東から九州の乾燥した林内や林縁に自生する在来種でキク科コウヤボウキ属の落葉小低木です。高野山でこの枝を束ねて箒を作ったことからこの名が付きました。弘法大師は人心を惑わす果樹や竹などの植栽を禁じていたので竹の代わりにこのコウヤボウキが使われていたそうです。
正倉院の宝物の子日目利菷(ねのひのめとぎほうき)はコウヤボウキ(ニワクサ)を束ねて作った玉帚です。
冬芽
樹高60~100cm。冬芽は白毛に包まれています。
1年枝の葉
1年目の茎はしなやかで叢生し短毛が密生し、互生に2~3cmの卵形の葉を付けます。基部は楔形または心形、先端はやや尖り突起状の鋸歯があり3脈と細脈が目立ちます。
表裏とも伏毛があります。
2年枝の葉
2年枝には長さ5~6cmの楕円形の荒い鋸歯のある数枚の葉が束生します。花は付けずそのまま枯れて新しい枝に入れ替わります。
花
花期は9~10月。1年枝の茎頂に花径2cmほどの1つの花を付けます。総苞は7列、長さ1cm程の円柱形です。
頭花は舌状花はなく白い筒状花が十数個集まったもので両性花のみです。花冠は5深裂し裂片は線形、先端がカールしています。雄性先熟で雌性期になると合着した葯筒の間から柱頭が伸びて先端が浅く2裂します。
果実
秋には長さ1cm程の不揃いな冠毛の付いた痩果を付けます。
痩果は長さ7mmほど、縦筋があり白毛が密生しています。
冬には果実は風に飛ばされて総苞だけが花のように残ります。