飛ぶために生まれてきたようなトンボ、じっと止まっているところに出会ったのはこの時だけです。
ウスバキトンボ
- トンボ目トンボ科ウスバキトンボ属
- 分布 北海道、本州、四国、沖縄 世界の熱帯から温帯
- 大きさ 50mm
- 出現期 4~11月
- 幼虫の食べ物 ボウフラやミジンコ
- 成虫の食べ物 小さな昆虫
- 不完全変態
- 別名 精霊とんぼ、盆とんぼ
他のトンボより頭部が大きく赤い大きな複眼が印象的です。淡褐色で腹部背に黒い縦条と細かな横条が入ります。翅は薄く透明で体に比して大きく、体はつぶれてしまうほど軽量化されています。翅縁にオレンジ色の長方形の紋があります。肛角部が大きく後方に広がった翅で風を捕らえてグライダーのように長時間、長距離を飛べます。飛翔中に、蚊などの小さな昆虫を捕食します。
日中はほとんど地上に降りず飛び回り夜は草の上などで休みます。
交尾したメスは単独で水辺に移動し水面をたたきつけるように産卵(打水産卵)します。栄養状態の良いメスは1日に800個を超える卵を作る能力があるそうです。推定される最大産卵数、なんと29000個と、桁違い。数日で孵化した前幼虫はすぐ脱皮して幼虫になりミジンコやボウフラを捕食し急速に成長し、早いものは1か月ほどで羽化します。2~5世代を重ねます。
南部から発生し段々北上、北海道の最北部まで到達し、お盆の頃には日本各地で大群を形成しますが、ウスバキトンボは熱帯原産のトンボで、寒くなると飛翔能力は失われ、日本の冬は越せません。八重山諸島で幼虫の越冬が確認されているそうですが、南方から海を渡ってくるといわれています。日本に来ても冬は越せず、卵を残しても4度を下回ると死にます。何故日本を目指すのでしょうか。季節風に載ってやってきて、寒くなる前にまた季節風の乗って南方へ帰っているウスバキトンボもいるのでしょうか。私たちの想像を超える飛翔能力の持ち主のようです。