果樹 自然教育園 植物の構造

クワ科~イヌビワ(犬琵琶)

イヌビワコバチなしでは実のできないイヌビワ、イヌビワがないと繁殖できないイヌビワコバチ。ビワという名が付きますがイチジクと似ています。

イヌビワ

イヌビワ

  • クワ科イチジク属の落葉小高木
  • 分布 本州(関東以西)、四国、九州、沖縄
  • 在来種
  • 樹高 3~5m
  • 花期 4~5月
  • 果期 9~11月

イヌビワの葉

葉は互生、倒卵形から長楕円形、先端は急に尖り、基部は心形、全縁です。葉幅は3.5~8cm。傷つけると白い乳液を出します。

ホソバイヌビワの葉

ホソバイヌビワ

ホソバイヌビワは葉の幅は1.5~3cmと狭く、葉縁は大きく波打っています。

イヌビワの新葉

4月、芽吹きの季節です。対になって新芽を包んでいた托葉は落ちてしまい、輪状に跡を残します。

イヌビワコバチとイヌビワ

イヌビワにはイチジクコバチ科のイヌビワコバチが寄生します。お互いが唯一無二の関係です。5~6月頃、雄花嚢の中の虫えい花に産卵します。孵化した幼虫は、虫えい花の子房が果実状になったものを食べて成長し、成虫になります。交尾をして雄は役目を終えます。雌は出口付近の雄花の花粉を付けて、飛び立ちます。雌花嚢にたどり着いたイヌビワコバチは花柱が長いため産卵は出来ず、翅がボロボロになって閉じ込められて、動き回って受粉の役目を果たします。雄花嚢にたどり着けば産卵し、役目を果たします。翌春まで幼虫はこの中で過ごします。

花嚢

イヌビワの花嚢

雌雄異株です。花嚢は1cmほどの球形で、葉腋に1個付きます。雄と雌は同形で隠頭花序、花軸が多肉化して沢山の花を包み込んでいます。イチジクと構造ですです。雌花嚢には雌花のみ、雄花嚢には、雄花と雌花に似た花柱が短い虫えい花が混在しています。雄花には花被片5枚と雄しべが2本。先端には総苞片が入り口をふさいでいます。やがて雄しべが成熟し、中からイヌビワコバチが出てきます。

果嚢

イヌビワの雄花嚢

11月17日・自然教育園

 

イヌビワの熟した雌果嚢

1~2cmほどの球形で熟すと黒紫色になります。ほんのり甘く食べられます。小さな種子が沢山入った、イチジクに似た食感で、生食やジャムで。雄果嚢は堅くて食べられません。

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