北海道から沖縄まで道端、空き地、庭先など、我が物顔という訳でもないのですが何処にでもいつの間にか存在しています。イナホオズキ(ホオズキではないという意味)からイヌホオズキ(犬酸漿)になったといわれています。別名、役に立たないから「バカナス」。
特徴
古い時代に帰化した、ナス科ナス属の1年草の植物で毒性があります。
葉
草丈30~60cm。葉は互生、長さ3~10cm、艶がなく厚みがある広卵形です。ガサガサした感じで波型の鋸歯があるものや全縁のものがあります。両面に短毛が散在しているものもあります。
花
花期は8~10月。多く分岐した枝先に直径6mmほどの白い花を4~10個、総状に付けます。萼は浅く5裂し、花弁は深く5裂して平開、または反り返っています。薄紫色の花柱が伸びて周りの黄色い葯が目立ちます。
果実
花後、花柄は下垂し、青い実ができます。直径7~10mmの液果は緑色から、黒色に変わります。
実の中には沢山の種があります。鳥が少しずつ食べてあちこちに糞をして、イヌホウオズキをどんどん増やしています。
オオニジュウヤホシテントウ ニジュウヤホシテントウの食卓
オオニジュウヤホシテントウやニジュウヤホシテントウをよく見かけます。イヌホオズキは彼らの大好きな食卓です。
葉裏に卵を産んでいました。
イヌホオズキとアメリカイヌホオズキ
最近増えてきたのが、北アメリカ原産のアメリカイヌホオズキです。
イヌホオズキ
白い花・少しずれてつく艶のない実・厚めの広卵形の葉
アメリカイヌホオズキ
白や薄紫の花・一点から放射状につく艶のある丸い実・薄く細めの葉
アメリカとつくと大型の植物を想像しますが、イヌホウオズキよりアメリカイヌホオズキの方が華奢です。ですが、個体差があって見分けるのはなかなか難しいです。
野菜?毒?厄介者?
ナス科ですからソラニンやチャクニンを含み全草毒です。天日干ししたものは竜葵(りゅうき)という解熱、利尿作用のある生薬です。
アフリカや東南アジアでは柔らかい葉や茎は大切な野菜で、茹でこぼして食べるとか、ソラニンは水溶性ですから大丈夫なんですね。実は熟すと美味しいという話がありますが、本当でしょうか。ちょっと食べる勇気がありません。
大豆畑に侵入されるととても厄介者なのだそうです。栄養素を奪う事は勿論、成長期が長く、排除してもいつの間にか存在し、一緒に収穫してしまうと脱穀時に果実の汁で大豆の実が汚れ等級が下がってしまうそうです。
カンザシイヌホオズキ
強い艶を持つ上向きに果実を付ける仲間です。
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ナス科~カンザシイヌホオズキ(簪犬酸漿)
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