毒のある植物 植物の構造 育て方

マメ科~ルピナス(葉団扇豆)

春から初夏にかけてひときわ目を引くルピナス。地中海沿岸から南北アメリカ、南アフリカにかけて200種類が分布しています。

ルピナスの特徴

マメ科ルピナス属の一年草、または多年草です。和名はハウチワマメ(葉団扇豆)、根生葉の形に由来します。蝶の様な花が咲きあがっていく様からノボリフジ(昇り藤)の名もあります。1911年以降、園芸種が生まれてこのような華やかなルピナスに出会えるようになりました。草丈は50~180cmにもなり、花序も60cmにもなるものがあります。花色は豊富で、白、ピンク、青紫、黄色、赤、オレンジ、複色。古代エジプトから栽培されていて、大豆除去食に代用食品として食用にされたり、石鹸、薬草、牧草にも利用されています。一部を除いてアルカロイドを含んでいます。

ルピナス・リリアン

4月に自然開花する早咲き品種。2月には促成栽培された鉢物が出回ります。耐寒性の多年草です。

ルピナスの根生の葉は和名の葉団扇豆の通り、長い柄を持つ掌状複葉

草丈50~60cm。根生の葉は和名の「葉団扇豆」の通り、長い柄を持つ掌状複葉です。長さ4~15cmの倒披針形の小葉が5~15個付きます。葉柄は3~40㎝、葉縁に長毛が生えています。

綺麗に整列した蝶型の艶やかなルピナス

花弁は左右対称に5枚。萼には長毛があります。

花びらは左右対称に5枚の筒状花のルピナス

上側の一番大きなものは「旗弁」、下側に左右1枚づつあるのが、内側の「竜骨弁」、竜骨弁を包むようにあるのが「翼弁」と呼ばれるものです。筒状ですが合弁花のように花弁の付け根がシッカリしたものではなく細くなっています。

雌しべ1本と雄しべ10本が竜骨弁に包まれるルピナス

雌しべ1本と雄しべ10本が竜骨弁に包まれるようにあります。

蜜腺と昆虫

旗弁の付け根に蜜線があって、この部分と翼弁、竜骨弁の部分は紫外線を吸収して虫たちを呼んでいます。
虫たちが来ると花の付け根が細くなっていることで押し下げられ、雄しべや柱頭が竜骨弁の間から現れて虫たちが簡単に触れられるような仕組みになっています。

果実

筒型で毛が沢山生えているルピナスの果実

2~4.5cmの豆果、筒型で毛が沢山生えています。

カサバルピナス(カサザキルピナス)

ルピナスの葉

草丈30~80cmの1年草。小葉は7~9枚、葉は名前の通り傘を広げたような形で全草に白色の毛が見られケノボリフジの名もあります。

ルピナス

花期は4~6月。

ルピナス

花色は主に青、青紫。白いラインは受粉後に紫色に変化します。

ルピナス

鞘も毛だらけ。葉や花に比して随分大きい。

育て方

日当たりがよく水はけのよい場所が好きですが、多少日陰でも育ちます。酸性土壌を嫌うので種蒔きの前に苦土石灰を漉き込みます。25度で成長が止まります。暑さは苦手なので暖地では夏越しは困難です。耐寒性はあるので寒冷地でも見事な花を見ることができます。

手入れ
一番花の終わりに花穂を切り取れば脇芽が出てまた楽しむことができます。

種蒔き
種は鞘が茶色になったら出して乾燥させておきます。種は比較的大きく扱いやすいのですが、固いので一晩水につけておきます。根が太く直根性で移植は難しいので、多めに直まきをして、間引きします。

緑肥

日本には肥料用の植物(緑肥)として明治初期に入ってきました。

未熟なうちに土に混ぜ漉き込んだ緑肥用の植物は、微生物によって分解され肥料になります。マメ科、イネ科、キク科、アブラナ科などの植物が使われます。漉き込んで約1か月ほど空けて作物の植え付けをします。

肥の効果

塩類濃度を低下させる
土の構造の変化により水はけがよくなり、保水力が高まる
有機物が増え、地中の微生物が増える
微生物のバランスがよくなり病害虫を防ぐ
センチュウの防除

マメ科の植物ではクローバー、ルピナス、ウマゴヤシ、レンゲソウが使われます。マメ科の植物は痩せ地でも生育し、根粒バクテリアとの共生により空気中の窒素ガスを一旦取り込んでアンモニウムイオンに変えてアミノ酸の材料になります。化学肥料が大量に作られる前は重要な窒素肥料でした。

マリーゴールドなどは含まれる成分が漉き込みの時に分解されセンチュウの殺虫効果を発揮します。また成長阻害物質を出したり、孵化しても餓死させたりする植物もあります。

背が10cm未満の花や実を付ける前の雑草は漉き込んで緑肥になるので、まずはこれを試してみようと思います。

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