ビワの木の根元のスズメノカタビラ(雀の帷子)が花を付けました。涼しい所では夏に枯れずに越年草になります。古代農耕とともに帰化した何処にでもある、世界中にある、ありふれた雑草です。南極大陸の昭和基地で仲間のオオスズメノカタビラが見つかった記録もあるとか。
スズメノカタビラの特徴
イネ科イチゴツナギ属の一年草、もしくは越年草。春先の花粉症の原因になります。
茎 葉
葉は長さが2~10cm。柔らかく光沢があり、基部は葉鞘に包まれています。茎は多くに分かれていて、扁平で曲がって伸びています。途中から根を出したり、根は浅いのですが、複雑に絡んでいます
花
4~5cmの円錐形の花序は分かれて横に広がり、4mm程の楕円形の小穂を付けます。そこに数個の薄い緑がかった小さな花を付けます。花といっても花びらはありません。花柱は2本(上の写真右下部に羽毛のように見えるのが花柱)、雄しべが3本、葯は淡黄色です。花のように見えるのは雄しべが花粉を飛ばしたあとです。
上の写真の丸い種は鳥が庭に落としていったものです。あちこちに沢山転がっています。鳥は身軽になるために飛び立つ前によくポトリと落としていきます。種は余分な物が取り除かれて発芽しやすくなっています。
赤くなっているものもありました。花穂の部分は、透明感のある白、薄緑色、そこに赤も入ったりと色が重なり合って綺麗な模様になっています。
雌性先熟
雌しべが先に出て遅れて雄しべが後から出ます。両性花ですが、同一の花で受粉しないように雌性先熟というシステムです。これはイネ科の特徴です。
踏み跡植物
スズメノカタビラは踏み跡植物です。中国では車前と呼びます。オオバコやクサイ、カゼクサがその代表的な植物です。柔らかくしなやかで強く、踏まれないと育たないのです。踏まれると成長ホルモンが分泌されます。大きい植物には負けてしまいますが、踏まれるようなところでは大きい植物は育たず生き延びられるのです。種も靴底に付けて運んでもらえます。
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