花に見えない小さくて地味な花に、艶のない葉、あちこち毛だらけ、名前も不思議、でも繊維植物として古くから栽培されていて沢山の名前を持っているそうです。
カラムシの特徴
沖縄を除く日本全土、東アジアに分布するイラクサ科カラムシ属の多年草です。ただ種に関しては諸説あるようです。茎(カラ)を蒸して皮を剥いでで繊維を作ったことから カラムシの名が付いたとか。小地谷縮や近江上布はこのカラムシから作られた麻織物です。縄文時代から衣服に使われ、その他紙や漁網などに。
茎 葉
草丈1~1.5m。地下茎で繁茂して茎は叢生し群生します。茎には伏毛が密生し下部は木質化します。葉は互生、長さ9~15cmの先端が細く尖った広卵形、基部は円形または楔形で鋸歯があります。下部ほど葉柄が長く葉も大型です。
葉表は疎らな毛がありざらつき葉裏は葉脈がくっきりと浮き上がり綿毛が密生し白く見えます。
花
花期は8~10月。葉腋に小さな花が房状に付き雌雄同株、雌花は上部に、雄花は下部に付きます。風媒花で花粉症の原因になります。
雄花は約5mm、緑色の花被片4枚、雄しべ4本、雄しべの基部には毛があり花糸、葯とも白色です。中央には退化した雌しべがあります。
5mmほどの球状花序に沢山の雌花が集まっています。2枚が合着した1mmに満たない筒状の花被片から白い毛のような1本の花柱が伸びます。
果実
有毛の花被筒に包まれた1mmほどの卵形の果実が球状に集まっています。
カラムシにとっての害虫
ラミーカミキリ
体長1~2cmの小型のカミキリムシで、白緑色の字にくろん斑紋を持つ胸部背面に丸い1対の黒い斑紋.前翅に大型の黒い紋を1対持つ印象的な模様です。江戸末期にイラクサ科のラミーに付いて中国から渡来されたと言われています。成虫も幼虫も食卓はイラクサ科のカラムシなど。幼虫は茎の中で越冬します。
アカタテハ
成虫は前翅に橙色の帯模様、先端は黒く白色の斑点がある中型の蝶です。幼虫は黒地に黄白色の棘を全身につけます。幼虫の食卓はカラムシなどのイラクサ科の植物で大きな顎を持ちます。葉を糸で閉じて二つ折りにして巣を作って潜み、その中で蛹になります。
フクラスズメ
開帳8cmほどのヤガ科の黒褐色の蛾です。幼虫の食卓がカラムシやイラクサ。幼虫は7cmと大きく派手です。
頭部と脚が橙色、体側に黒色と黄白色いの線、各節に赤い斑状の模様、背中には黄白黒の横縞模様があります。毒はありませんが毛によってアレルギー反応が起きることがあるそうです。また危険を感じると緑色の液を出しながら頭部を激しく横に振ります。5月の末、水生植物園で沢山のフクラスズメの幼虫を見ることができました。とても食欲旺盛でした。
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