暮れから日本水仙が咲き始めました。お正月の花として重宝しています。庭のあちこちに、優しい白と華やかな黄色が緑に生えて、明るくしています。シンプルな房咲きの水仙で傍を通るだけでふくよかな香りが漂ってきます。
一枚の花弁が持ち上がった開きかけの花です。
下の写真も一枚だけ上に持ち上がって、面白い顔をしています。
日本水仙の特徴
ヒガンバナ科スイセン属(ナルキッスス属)。地中海沿岸原産でヨーロッパ、アジアを経て中国から室町時代に日本にやってきました。英国王立園芸協会には12系統1万種が登録されているそうです。地中海沿岸には25種類以上のスイセンが自生しているそうですが、日本でも比較的暖かい海岸に野生化しています。越前海岸(福井県の県花です)、伊豆爪木崎、房総白浜、淡路島など。中国での名前、水仙(水辺の仙人という意味)を音読みして「スイセン」になりました。。雪中花、雅客、ナルキッサスとも呼ばれます。綺麗な名前です。
多年草の外皮が黒褐色の球根植物です。葉は少し厚みがあり扁平で細長く、あまり艶はありません。葉の間から茎が伸びその先端い蕾ができ苞を破って横向きに蕾が現れます。花びらは6枚に見えますが外側の3枚は蕚で、花びらは内側の3枚だけです。よく見ると花びらはラメのようにきらきら光って見えます。
中央に黄色い副花冠があり、中に高さが違う雄しべが6本、雌しべが1本あります。が、種は出来ません。
八重咲水仙
通常八重の品種は雄しべや雌しべが花弁化するものですが、副花冠があることでとても複雑に入り組んでいます。副花冠の合着部分が離れて中からも白い花弁が出ています。
育て方
日当たりが悪すぎると花付が悪くなります。水は控えめ、そして花が終わっても葉は枯れるまでそのままに。来年の花芽のために養分をため込む必要がありますから。それでもどうしても葉が折れて乱れてしまいます。また、葉の下にはナメクジや虫が沢山発生します。夏までの我慢ですが、そんな時はこんな風にしています。
球根は植えっぱなしでも大丈夫ですが、何年かに1回は葉が枯れたら掘り上げて、傷んだ球根を取り除いたり分球します。少し植え付ける時期をずらすと花の時期もずれて長く花を楽しめます。
ギリシャ神話
属名のナルキッソスの名の由来は、諸説あります。その一つがギリシャ神話のあの有名な話によるものです。(高慢な振る舞いで女性に恨みをかい、復讐の女神に呪いをかけられた美少年が水面に映った自分の姿に恋して、その想いに答えてくれないことに憔悴して、死んでしまいました。そしてそこには、水を覗き込むように下向きにひっそり咲く水仙の花がありました。)
ヒガンバナ科の毒
こんな可憐な水仙ですが、全草毒です。特に鱗茎に多く含まれます。毎年ノビルの鱗茎やニラと間違えて口にする中毒者が出ています。リコリンやタゼチンなどのアルカロイドを含み、シュウ酸カルシウムと合わさって、嘔吐や下痢、胃腸炎、痙攣を起こします。ラッパ水仙などには見られないようですが、房咲き水仙は切り口から出るリコリンなどによって蕁麻疹のような接触皮膚炎をおこすこともあります。
ヒガンバナ科の植物には多くのアルカロイドが含まれています。アマリリス、スノードロップ、ハマユウ、クンシラン、キツネノカミソリなどです。
犬を飼っているときはベランダから離れたところに植えていました。